香港(ユーザンス登記と借入制限緩和)

昨日、書く筈だったタイトルの件、上海の外貨管理局外債科の確認が取れた。
という事で、今日は、ビジネス情報。

1. ユーザンス輸入に関する外債登記に付いて
外資企業に対する借入制限の緩和が規定された通知(外債管理の関連問題に関する通知:国家外貨管理局:匯発[2005]74号)には、その他の内容も幾つか盛り込まれているが、その一つが、ユーザンス登記。
ここでは、2005年12月1日以降に締結する輸入契約で、金額がUS$ 20万以上、且つ、ユーザンス期間が180日以上のものに付いては、外貨債務登記の対象とするというもの。
ここで疑問に感じる点と、外貨管理局の回答は以下の通り。
? 通知から類推すると、このユーザンス登記は投注差の制限の対象外と考えてよいか(通知では、ユーザンス輸入登記金額が、前年度輸入総額の10%をベースに制限されている為)。
  ⇒ その理解でよい。
? 匯発[2005]8号により、今年3月から、US$50万、且つ、期間90日以上の輸入については、ユーザンス登記が義務付けられている。これ2つは併用されると言う事か。
つまり、新規定(74号)に基づいて外債登記を行ったものは、8号の規定に基づくユーザンス登記は不要と規定されているが、その間のもの(輸入金額がUS$ 50万以上であり、決済期日が通関後90日〜179日のユーザンス債務)は、ユーザンス登記が必要と言う事か。
⇒ その理解でよい。
という事であった。
?の点に付いては、ややこしくなるので、今後の実施段階、若しくは運用面で対応が変更になる可能性もあるかもしれないが(筆者の単なる推測)、ともあれ、現段階での規定の解釈と外貨管理局の回答はこの様な感じ。


2. 外資企業に対する借入制限緩和のポイント
これは10月25日で解説したが、まだちょっと分かりにくいので、一言で解説してくれ、というご依頼が多い。
よって、大変簡単に。
? 今回の規制の緩和のポイントは、「保証をするという行為」は外債登記の対象とはしないし、投注差の制限を行わない、というもの。
よって、外国企業が、「保証をしましょう」と言ってくれれば、投注差が無い会社でも外国企業からの保証を受ける事ができるし、これをベースに借入を行う事ができる。
? 何故、「保証をしましょう」と言ってくれれば、とわざわざ断ったかと言うと、保証(代理弁済)を実施した段階で、この保証履行債権・債務を外債登記する必要があり、返済可能な部分はこの金額に限定される為。
つまり、投注差の無い会社に保証をしても、保証履行した場合、その金額は返ってこないという事。
という事で、100%子会社の様な場合は問題ないであろう。
というのは、保証履行をする際には、この結果現法を潰す(保証履行額は清算損の一部として処理)、若しくは、生かしておく(債権=増資が必要。よって、保証履行ではなく、増資して借入金を返済させればよい)、という検討が行われる筈だからである。
ただ、少数持分の会社に保証を提供する場合等は、少々もめるケースもあるであろう。
? 因みに、中国内の外貨借入・人民元借入は、共に外債登記が不要なので、保証の事だけを考えればよく、上記(?・?)に基づいて判断すればよい。
但し、外国からの借入(親会社ローン等)は、外債登記の必要があるので、投注差の無い会社は、やはり借入不可という事。