先日、日本で暮らす友人が、吉祥寺の香港カフェ(茶餐庁)に行ったら、出前一丁が1,100~1,300円で提供されていると驚いていた(生麵や河粉と同価格)。
具は2種類選べて、安いものから選ぶと1,100円(ハムと目玉焼き等)。高いものから選ぶと1,300円(エビとか叉焼とか)。1個1個だと1,200円という価格設定らしい。
「インスタントラーメンを、この価格で提供するというのは、今年で一番驚いたことだ!」というので、以下の通り返答した。
① 香港式茶餐庁に出前一丁が無いというのはあり得ない。それが香港文化。
② 店の立場からすると、出前一丁だけを通常の麺より低価格で 出し、客単価を下げるのは望ましくない。出前一丁は誰も頼まなくてよいが、なければならない(メニューとして有るだけで、香港の雰囲気を守れる)。
③ 上海の茶餐庁(自分の住居の隣の普通の店)の出前一丁鶏肉乗せの価格も55元(1,200円)。中華圏の物価感覚はこんなもの(日本の物価が安い)。
まあ、真実は店の経営者に聞いてみないと分からないのだが(同君いわく、香港人経営)・・・
しかし、香港駐在期間中(1997~2020年の23年間)は、出前一丁にはお世話になった。
朝食には、オフィス下の美心カフェで、お湯を注いだだけの(茹でない)投げやり出前一丁を食べることがあった。
以前、香港日清の方のインタビューを読んだことが有り、香港で出前一丁売り出しに際して、一番苦労したのは、「茹でなくても食べられる麺にすること」だと回答していた。香港では、即席麺(袋麺)は、茹でずに、お湯をかけるだけ食べられていたので、日本よりも柔らかくなりやすい麺の開発が必要であったとのことである。そんな努力の結果なのだが、やはり茹でた方が旨い。
また、香港の吉野家には、出前一丁に牛丼の具をのせたものが有った。
そして、出張者が来たときは、火鍋の〆は出前一丁にすると喜ばれた。はっきり言うと、生麺とか手工麺(固いうどんのような麺)の方が旨いのだが、出張者受けでは出前一丁がダントツであった。火鍋は場所を選べば安い(そして、安い店の方が旨い)ので、気を使わなくてよい出張者が来た時の接待場所によく使ったが、そこで出前一丁で盛り上がったものであった。