上海帰任(またもや報道に思う事)

2024年7月26日に羽田から上海に移動。キャセイラウンジでビールを飲み、うどんを食べる。キャセイラウンジ良いね。今回は、久しぶりに2週間の上海なので、ちょっと落ち着く。やはり、毎週飛行機に乗る生活は慌ただしい。かつての、2~3日以内に飛行機搭乗を繰り返すような生活には、もう戻りたくないな。


JALの浦東発着便は、一時期、必ずディレイであったが、現在では問題解消。ここのところ、続けて定刻出発だ。有難い。

機内食も美味かったし、ワインも良かった。すっかり堪能してしまった。


日本のメディアが、7月1日から個人のPC,携帯を調べるとか報道するので、2 ~3か月前から、顧問先企業様より、「大丈夫でしょうか」との質問を多数頂いた。その都度、「そんなことがある筈ない(よほど問題ある行為をして、目を付けられている人間はともあれ)。そもそも、該当する法律に、そんなことは書いていない」と回答していた。
結果、何も変わっていない。僕自身、2回入国したし、知人も何人も入国しているが、実務だけでなく、入国管理官の態度物腰含めて何も変わっていない。自分自身、さすがに発言はしなかったものの、「これを外したら、自分の判断力の低下ということ。コンサルをやめることも検討する時」と真剣に考えていたくらいだが、外していない。
過去に、ビザ制度の変更(2015年)、就業許可制度の変更(2017年)で、大騒ぎになっていたが、実際には殆ど変わらなかったことを、既視感を以て思い出す。一度報道して、それが間違っていても、懲りずに同じ報道を繰り返し、読者・視聴者は、前のことを忘れてまた信じ込むという循環は、どうにかならないものか。
法律面から解説すると、今回の元となっているのは、「国家安全保障機関の行政法執行手続き規定」の以下の部分。
① 国家安全保障機関が法に基づき、関連個人や組織の電子機器、設備、道具等を検査する場合、国家安全保障機関の責任者の承認を得なければならない。緊急事態のため、即時検査が必要な場合、市レベル以上の国家安全保障局責任者の承認を得て、法執行官は警察証等の身分証明を提示すれば、現場で即時検査を行うことができる。
② 国家安全保障機関が任務執行の際に、関係者の身分を確認する必要がある場合、法執行官は警察証等の身分証明を提示すれば、中国国民または外国人の身分証明書類を検査することができる。

平たく言うとどういうことかと言えば、
②は、「身分確認の必要が有る場合、警察証等の提示で、身分証明の提示を求めることができる」という事で、これは、従来通りの対応。今回、特に変わったわけではない。
重要なのは、①だが、PC、携帯などを調べる場合は、警察証の提示だけでは不可。国家安全保障機関の責任者の承認がないと調べられない。
緊急の場合であっても、最低限、市レベル以上の国家安全保障機関の責任者の承認がなければ検査はできない(仮に警察官でも独断で提示を要求できないよ)。という内容。報道とは全く違うのが、お判りいただけよう。

こんな変な報道は、日本だけかなと思っていたが、7月2日に羽田メルキュールのバーで飲んでいたら、付近の西洋人二人(話しているのは米国人っぽい)が、明日上海行くんだけど、PC調べられるみたいなんだと言っているので、これは、米国発のネガティブキャンペーンに、日本(の報道)がのっかったという事なのかなと推測した。
まあ、どうにも法律を曲解した、強引な(というか、プロとしての専門性とプライドを感じられない)報道が多いが、自分は、基本と現場感、経験で、しっかりと冷静に判断し、発信していきたいなと思う次第。