古くから、中国、アジアで仕事をしている方なので、お互いの興味が一致して、(会食中は仕事の話をしない僕としては)日本企業の海外戦略の立て方、ASEAN各国の状況などを、ひたすら語った。
国の発展を分析すれば、まず、開発途上段階の場合、加工貿易モデルが適した形態となる。
つまり、販売市場、調達市場が共に成長していないため、原材料の輸入、製品の輸出という形態の製造が適しているためだ。
この場合、日本企業としては、相対的に低付加価値の加工をその国で行う事になり、進出地選定のポイントは、コストの安さ、保税輸入制度の有無などが重要となる。
その後、産業集積が進むと、それに付随して国内の調達市場が構成され、加工貿易モデルから、徐々に非保税モデルの製造に移行する。
非保税モデルに移行すれば、国内販売が可能であり、販売先の多様化が実現する。
この段階になれば、販売会社、物流会社の進出が加速する。
その後、所得が向上すれば、国内の購買市場が発展するため、当該国の位置付けは、製造場所ではなく、販売先ととらえられるようになる。
この購買(販売)市場の発展段階において、初期は国内製造⇒販売が有効であり、その後、(この段階となると)製造コストが高くなる事から、国外製造⇒当該国の輸入販売という形態にシフトするようになってくる。
簡単にいうと、国の産業の発展というのは、この様なステップで進む訳なので、各国が、どの様な状況にあるかを分析し、それに合わせて企業の進出地を選定しないといけないと考える次第。
つまり、その国で作りたいのか、その国に売りたいのかを明確にする必要があるし、それに際しては、当該国における市場(販売市場・調達市場)の有無、成熟度合いを分析しなければ方針決定は当然できない。
中国とカンボジアやミャンマーを、同レベルで比較するような論調がはびこっているが、これはまったく無意味だ。
もっと深い分析をしなければ、海外戦略などは立てられない。
そんな訳で、いま、僕自身で中国、アジア各国の状況調査をし始めており、年内に、具体的で明確な意見が出せる様にしたいと考えている。
僕の会社は、現在のところ、中国関係業務の収入が99%であるが、数年かけて、中国8割、その他2割という形に持っていければと考えている。
中国業務を維持・拡大しつつ、アジア関係等の収入を新規開拓していくわけだ。
ただ、人より知っている事がビジネスの大前提であるコンサルティング業種で、今からアジアの個々の国に拠点を出し、コンサルティングを行う事は、考えにくい。
ただ、十数年コンサルティング活動を行っている関係で、アジアに複数拠点を構築している提携先や、ネットワークが開拓できている。
また、20代の頃から、国際間のビジネスモデル構築の仕事をしているため、その意味でのノウハウはあるつもりだ。
起業5周年(コンサルティング開始12周年)。
一息ついたと思いきや、新しい課題は次々と出現するものだ。
新しい分野の開拓は、楽しいのも確かだが。