現在の香港と雑感

明日、と書いておきながら、アップに数日かかってしまいました。ちょっとバタバタしていた関係で・・・

香港の事態終息に2年はかかると思う理由は、現時点で、まず終息する強い要因がないため。また、要求も変化してきている。つまり、抗議者の主張も、そもそもの条例廃止から、徐々に、貧富差、生活不安などの要素が入ってきており、交渉に移行できる状況ではない。
では、どの様な状況で終息するかというと、現在の情勢により失業率の増加、経済のマイナス成長となり、困窮が進み、抗議派が少数派となった場合という観測で、それには2年かかるであろうという意見であった。
ただ、香港に戻ると、少々印象が変わった。
香港の情勢は、警察の実弾使用、抗議者の火炎瓶使用や破壊行為と、悪化しているのは確かだが、一方、局地以外は、1カ月前より平穏を取り戻している。市民の様子もそうだ。これは、抗議派とそれ以外が、徐々に分かれてきているようにも思えるし、実際、(まだ、街の人は以前よりも少ないが)飲食店などは、一時よりも回復がみられているとの声もある。
これは、現場にいないと分からない感触だ。

これが良い話か悪い話かというのは、難しい問題だ。
経済の悪化は軽減される期待がある一方、抗議の長期化が予想されるし、それは、何年という観測もつかなくなる。これが、5年、10年と続いた場合、実消費が、ある程度持ちこたえれば、外資サービス業は、それなりに香港に留まる、若しくは、新規進出も期待できるが、ホールディングカンパニー(地域統括拠点)は、シンガポール、その他の地域に移るであろう。地域統括会社設置に望まれる条件は、キャピタルゲイン非課税と自由な投資制度。そして、政情の安定で、それを満たす地域であれば、代替が可能である。
中国が、大湾区構想(グレーターベイエリア)構想を打ち出し、インフラ整備、通関利便化を進めると同時に、高級外国人材・香港マカオ永久居民に、15%の個人所得税率適用を認める方針を打ち出した(粤財税[2019]2号)。これは、香港と同じ税率だ。
これを考えあわせれば、広東省に、第2香港を設置するという報道も、信ぴょう性を増してくる。勿論、香港情勢が安定すれば、経済合理性から見て、ここまではしないであろうが、今後数十年後を見据えた、スペアタイヤとして準備をする可能性はあり得る。
そうなった場合の香港の衰退を考えると怖い。

イデオロギーの問題はあろうが、経済合理性から見れば、香港の中で、香港人自身が、香港の経済価値(金融、物流センターとしての機能と信用)を損ねている状況だ。
前にも書いたが、1985年に香港を初めて訪問し、香港ドリームの空気を体感し、ここで仕事がしたいと考えたから今がある。それだけに、非常につらい気持ち、というより、割り切れない気持ちがある。