数回前、簡単に触れた「外国人中国就労許可制度試行実施方案(外専発[2016]151号)」による外国人に対する就業許可発給時の分類管理に付いて。
2017年4月1日(一部地域で先行試行)より、外国人はA~Cの3分類で管理される。これは、A~C各類の絶対条件に該当するか、ポイント数によって分類される。A類はかなりハードルが高く、ノーベル賞受賞者、オリンピック8位以内、世界上位500大学の教授経験者、フォーチュン500企業の本社高級管理職、若しくは、直轄子会社・地域本部の副社長以上、その他という感じとなっている(条件は多岐に渡るが、何れもハードルは高い)。よって、大部分の外国人は、A類になりたければ85ポイント以上を取得する必要が有るが、このポイントが、上手く、というかいやらしくできており、B類基準の60点以上は比較的容易に取れるが、A類基準の85点はなかなか取れない。特に、60才以上となると、A類を取得するのは至難の業だ。
ポイントは以下の通りだが、例えば、大学卒業後、すぐに就職した40才の場合、(駐在期間の年収は国内勤務時より一般的に高いので、45万元以上の年収になると仮定すれば)以下の様になる。
年収(20点)+学歴(10点)+業務経験(15点)+年間就業時間(15点)+年齢(15点)=75点
これでHSK5級を取得する(10点)、若しくは、世界500強企業就業経験者(5点)であれば、HSK3級(6点)以上を取ればA類に該当する。
これが、60才となると、年齢ポイントが0点になるため、上記の条件に当てはめると60点。HSK5級以上(10点)、世界500強企業勤務経験(5点)を足してもまだ75点で、特定地域(中部、東北の旧工業地域、中部の国家級貧困県等)での就業(10点)でないとA類になれないことになる。
やはり、A類に該当する事が切実に求められるのは、就業が原則として制限される60才以上の方であろうが、これが正攻法では難しいように制度が構築されている。
現制度(というか実務運用)では、60才以上でも、中国現地法人の総経理・法定代表人等に就任する場合は、就業許可の発給が認められるケースが比較的多いが、この点、今後はどの様な運用になるかが注目される。上海・深圳等の労働管理部門にヒアリングしたが、「60才を超過すれば、就業許可取得に当たって特別審査が必要。まだ実施細則公布前なので明確な回答はできない」という回答しか得られていない。
この点、現実的な影響(実務面での影響)は、もう少し時間が経たないと把握できない様だ。
<就業許可発給に際してのポイント>
● 中国内組織が負担する年収
45万元以上(20点)、35~45万元未満(17点)、25~35万元未満(14点)、15~25万元未満(11点)、7~15万元未満(8点)、5~7万元未満(5点)、5万元未満(0点)
● 学歴・国際職業資質認定
博士・博士相当(20点)、修士・修士相当(15点)、学士・学士相当(10点)
● 業務経験
2年超の場合は1年超過ごとに1点加算(最高15点)、2年(5点)、2年未満(0点)
● 年間就業時間
9か月以上(15点)、6~9か月未満(10点)、3~6か月未満(5点)、3か月未満(0点)
● 中国語HSKレベル
5級以上(10点)、4級(8点)、3級(6点)、2級(4点)、1級(2点)
● 就業地域
西部地区、東北地区など旧工業地域、中部地区の国家級貧困県等の特別区(10点)
● 年齢
18~25歳(10点)、26~45歳(15点)、46~55歳(10点)、56~60歳(5点)、60歳以上(0点)
● 卒業大学、若しくは、勤務企業
世界トップ100の外国大学卒業生、若しくは、世界500強企業での就業経験者(何れかに該当すれば5点)
● 省級外国人就業管理による奨励点
地方経済と社会の発展に必要な人材(0~10点)