一時期はよく行った店だが、4年程足が遠ざかっていたので、久々の訪問だ。
当時は、結構流行っていたが、客がほとんどいない。
僕達の他は一組だけだ。
不思議に思いつつ、アワビ、ハマグリ、タコ、ホルモン等の料理を頼んでみる。
ぬるい。
出てきた品は、湯気も立っていない。
これをテーブルの鉄板に置いた途端、じゅっ!となればよいのだが、料理が出てきたのは、店員さんが、鉄板のスイッチを全開にしてから20分経過後。
それでも、鉄板は手で触れる。
「何とかなりませんか?」
というと、「スイッチは全開にしたので、もう少ししたら熱くなります」との回答。
これは中国語での交渉に限る、と考える。
「20分たって温まらないものが、これ以上たっても温まらないでしょう。壊れてるなら場所を変わるし、全ての鉄板が壊れてるなら(熱くならないなら)奥で熱くして持ってくるなど、何らかの方法を講じてください」と、中国語で交渉する事15分。
最初の2回は「無理だ、待ってくれ」と言われたが、それでもあきらめずに、3回に分けての交渉。
3回目の交渉後、下がった店員さんが、店の奥にいる人間と、大声でやりあっている声が聞こえ、その後、いきなり鉄板が熱くなる。
中央管理か!元で電気かガスの供給をコントロールしているのか!?
と驚く。
ただ、喜んだのは束の間で、少しするとまた熱が下がり、アワビやハマグリは冷たいままだ。
これ以上交渉するのも疲れるので、食べたかったステーキやそば飯は断念して店を出る。
ぬるい鉄板焼き。
寒々しい気持ちになった一夜であった。
味はそれほど変わっていなかったので、燃料費をケチらないのであれば、また行っても良いが、このままならもう行くまい。
収入減による経費削減を講じるのは、組織として当たり前だが、メインのサービスの質を落とすと、負のスパイラスに落ち込む。
鉄板焼きの最大の魅力の一つは熱。
これを削っては、客が遠のくのは自明の理。
料理店だけでなく、会社経営も同じ。
組織を運営していれば、苦しい時もあるが、そんな時でも、サービスの質を落とさないように努力するのが、経営者の手腕だ。
この方法を間違えると、弱った組織に、自ら止めを刺す事になってしまう。
こんな事例は、料理店だけではない。