リーダーの資質

先日のブログでも書いたけれど、経営者、リーダーの資質と言うのは、周りの人間が、「あの人なら何とかしてくれる」、「あの人の下にいれば安心だ」と思うか否かにかかっている、と思う。
本当にそうか(付いていけば本当に安心なのか)という現実はさておいて、最低限、人にそう思わせるものがなければ、組織であれ、人であれ、まとまらない。
結果、業務遂行にも影響が出る。

では、人にそう思わせるには何が必要かだが、当然、実力・能力は重要だ。
ただ、その点はさておき、精神的な要素を挙げれば、有言実行(言った事は必ず実現する)、信用厳守(約束は必ず守る)、責任遂行(困難から逃げない)、方針・指示の明確化という点だと思う。
勿論、僕も経営者修行中の身であるので、僕ができているという意味ではなく、こう在りたいという意味も含めての意見。

最後の2点に付いては、過去の経験で忘れられない事がある。
1点目は、僕が24才(入社3年目)で、福州で実務研修生をしていた頃、駐在員の長期出張中に、化学品担当の中国人女性(21才)がクレームを受けた。
顧客からも本社からも、ぼろぼろに罵られており、それが堪えたのか、数か月後に辞めてしまったのだが、彼女をサポートしてやらなかった事が後悔として残った。
勿論、僕の担当は食品、物資、総務経理だったので、化学品の事はまったくわからなかったし、僕は単なる研修生の肩書で、彼女と上下関係はなかった(同格)。
社内組織的には僕が関与する立場にはなく、大義名分は立つのだが、最低限、僕は本社員であり、本社とのつなぎは、微力ながら出来たかもしれない。
トラブルに巻き込まれるのが怖くて、そこから逃げたというのは、自分が一番よく分かっており、人間として潔くない行為だったと反省した。
その時から、「嫌な事(直感的にやりたくないなと思った仕事)は自分がやるべき」と自分を戒めた。
クレーム対応というのは、上司の重要な仕事。
逃げたくなるのは確かだが、逃げずに、率先して前に出る気持ちは大切だ。

次は、方針の明確化。
経営と言うのは、手探りの部分も少なくない。
経営者とはいえ、何がベストの選択か必ずしも分かっている訳ではなく、部下に、「僕も考えるが、各自、自分の創意・発想で対応を考えてくれ」と言いたくなる事もある。
自分にない、良い発想が出てくることを期待してのものだ。

ただ、長期的な計画であれば良いのだが(この様な指示で、良い発想が生まれるかもしれないのだが)、数か月以内に、これだけの事(契約、利益等)を達成しなければならな時は、組織が一丸となって走らなければならない。
その状況では、各自判断の余地が少ない、極めて明確で具体的な指示を出す必要がある。
それにより、全員が同じ方向に走り出す事ができるし、目標を達成すれば自信が付くと同時に、部下・同僚に対する信頼も増す。
つまり、状況に応じた判断と、達成のための方針を、明確に下せる事もリーダーの資質であろう。

経営者、リーダーが、悩みから開放される事はない。
その中で、自信がある様に周りから思われないと、組織の結束は揺らぐ。
そして、自分が打ち出した方針を、ひとつひとつ達成していく事で、リーダーは自信をつけ、それが、部下の信頼に応える事になる。

そんな事を考えながら、僕自身は修行中。
そういう人に私はなりたい。