加工貿易制度の変更に付いて

加工貿易制度に関する制度変更が行われている。
関連法規が矢継ぎ早に公布されているが、どの程度の影響が有るかに付いては、現時点では読みにくい。

2014年2月1日施行の「国内販売用保税貨物の納税価格査定弁法(税関総署令2013年211号)」は、加工貿易貨物(来料・進料製品、余剰原材料、端材・副産物・被災貨物等)を国内販売する際の課税基礎に関する弁法だが、よく見てみると、今までと比べてそれほど大きな変更はなさそう。
国内販売の課税基礎の算定基準を、ひとまとめにして整理した感じの内容。

次に、今年に入ってから公布されたものとしては、税関総署令2014年216号、218号、219号、税関総署公告2014年第21号が重要な内容と言える。
では、これらが何故公布されたかというと、上記21号にも規定されているが、加工貿易備案・変更、外注加工、転廠(深加工結転)、転材料転廠(原材料結転)、核銷に関して、税関の許可取得が免除された事によるもの。
行政手続きの簡素化の観点より、認可制を備案制に、というのは、その他の分野でも行われており、この流れの一環とも言えるが(今回は、厳密に言えば認可制から備案制への変更とは言いにくいのだが、意義は類似)、税関の手続に限定されており、(加工貿易手続に関して、税関と同様に重要な機能を持つ)商務主管部門の許可に付いては触れられていない。
この為、実務上の影響に付いては不透明と記載した次第。

制度変更の詳細は、当社会員企業様には会報で。その他、NNA、時事通信で解説を書いたので、参照にして頂きたいのであるが、僕個人として気になるのは、転廠に付いて。
転廠は、従来、転出価格と転入価格の一致が求められていたので、外国の商社が介入する場合等、利ザヤが確保できず、これが商流構築の障害になる事例が少なくなかった。
これが、税関許可が不要となった事や、価格一致を求める根拠(税関総署令[2004]第109号)が失効となった事で、価格差をつける事が認められる可能性が出てきた。
とは言え、219号(加工貿易貨物監督管理弁法の改定)第23条では、転廠に関して、具体的な管理規定については、税関総署が別途定めて公布すると規定しているため、結局、同じ内容の規制が行われる可能性もあり、この点、規制緩和に繋がるかどうかは、現段階では判断できない。
よって、転廠に関しての規制緩和は「若干、様子見」というところ。
一方、外注加工は、従来の事前の税関許可が、事後報告でよくなったり、保証金積み立て要件が緩和されたり、という規制緩和が219号に織り込まれているので、従来に比べ、やり易くなりそうだ。

因みに、今年に入って公布された加工貿易関係の主要な制度変更は、以下参照。
① 一部の規定廃止に関する決定(税関総署令2014年第216 号)
転廠の根拠規定となる、税関総署令[2004]第109号を廃止する決定(その他は、通関員の資格・免許等に関する規定3本の廃止)。
② 一部の規則改定に関する決定(税関総署令2014年第218 号)
「異地加工貿易に関する管理弁法(税関総署令1999年第74号)」、「進料加工保税集団に関する管理弁法(税関総署令1993年第41号)」、「加工貿易端材、余剰原材料、不良品、副産物、被災保税貨物に関する管理弁法(税関総署令[2004]第111号発布)」の内容修正。
その他は、保税転送、申告価額の修正、集中通関等、税関手続などに関する修正。
③ 加工貿易貨物監督管理弁法(税関総署令2014年第219 号)
税関総署令2004年第113号として公布された「加工貿易貨物監督管理弁法」の、3度目の改定。
④ 加工貿易貨物監督管理弁法執行問題に関する公告(税関総署公告2014 年第21 号)
加工貿易貨物監督管理弁法の執行に関する公告。