大騒ぎになった中国の新しい就業許可管理制度も、4月1日より正式施行となる。
関連機関に質問しても、2017年4月1日以降質問してくれ、という反応が殆どで、実務運用状況の予測がなかなかできなかったが、1ヶ月ほど前から、それなりの回答も得られる様になってきた。部下が、窓口でしつこく聞いた成果と言えるのだが。
その結果を、先日、無料メルマガで配信したので、興味のある方は、こちらをご参照下さい(水野コンサルティングタンシーホールディングス・無料メルマガバックナンバーより)。
まず、新制度に関する誤解が多い点として、就業許可取得はポイント有りきだと思われている点が挙げられる。
だが、実際は、ポイントは判定条件の一つに過ぎず、例えばA類の絶対条件の何れかに該当していれば、ポイント制の考慮は不要であり、優先的にA類に分類される。そうすれば、学歴・年齢は、原則として考慮不要となる。
確かに、A類の絶対条件は、ハードルが高いものが多いのだが、よく見ると、例えば、「賃金制年収、及び年間の個人所得税納付額が、一定の基準に達した人材」というものが有る。根拠法規(外専発[2016]151号)には、この具体的な金額は明記されていないのだが、広州市は、政府機関が想定問答を公表し、広州市の平均給与の6倍以上である事を明記している。2015年の平均給与は6,764元なので、40,584元以上の月給を設定すれば、A類の絶対条件を満たす事になる。上海市の年収60万元以上・納税額12万元以上というA類判定基準は、非公開ながらもかなり有名であるが、先日、上海市レベルの担当者からも内規として存在している事(4月1日以前の基準という断り付きだが)は確認できた。
また、注目度の高い(年齢制限が免除されるA類には該当しない)60才超の方の就業許可に付いて、深圳市は想定問答で、「企業の出資者、法定代表人、責任者、特別の必要性が有る高級管理技術人材」の場合、新規は65才、継続は70才以下であれば、条件緩和を検討し得ることを公開している。また、(B類の前提条件となっている)就業経験2年未満のトレイニーの就業許可発給に付いても、C類として審査し得ると公開している(トレイニー期間中に2年になれば、B類にランクアップ可能であろう)。
それ以外の点も、メルマガには記載しているが、確認結果を踏まえると、(従来より融通は利きにくくなる面はあろうが)従前と比較して、ドラスティックな変化はないのではないかという印象を持っている。
この様な点が、政府機関でのヒアリングや情報公開を集める事によって、徐々に分かって来る。
中国の法律解釈・実務判断の難しさは、法律をそのまま読んだだけでは分からない。法律の精読は当然ながら、それに加えて、政府機関でのヒアリングや事例分析を積み重ねて、初めて実態が把握できるし、リスク管理、今度の予測も可能になるという点だ。
因みに、これを積み重ねていくのが自分の仕事。
若い頃から、これを実施するためのの仕組み(情報収集・確認ルート)が欲しかった。時間をかけて構築したのが、今の組織であり、今のビジネスモデル。