広州の黄埔地域には、保税区、保税物流園区、輸出加工区の3つの保税開発区があるが、この組織再編が予定されている。この内、輸出加工区は変更はないものの、保税物流園区は黄埔総合保税区に転換。広州保税区は廃止(非保税区域に転換)が予定されている。
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中国の保税開発区の種類が多すぎて、(各々機能も異なっており)わかり難いので、環境が整った保税開発区を、将来的に総合保税区に統合していこうという方針は、「税関特別監督管理区域の科学的な発展を促進する事に関する指導意見(国発[2012]58号)」で決まったものである。ただ、転換の対象となっているのは、主に輸出加工区であるし、輸出加工区と保税物流中心B型が統合されて、総合保税区に転換する場合も多い。
広州の組織再編も、保税区と保税物流園区を総合保税区に転換するのが自然であるが、そうせずに、保税物流園区のみ黄埔総合保税区に転換し、保税区は、非保税区域への転換を選択した。こうなると、少なからぬ問題が出てくる。
総合保税区は、多機能を持っている(多様な業種を誘致する)のであるが、広州保税物流園区という、0.5㎢未満しかない区域が転換する訳なので、区内で展示や加工などは展開できず、機能は自ずと限られる。今後の拡張予定はあるようだが、具体的な内容(地域・タイミング)は不透明だ。
そして、広州保税区が無くなれば、保税区域内の企業は、保税業務が出来なくなってしまう。生産型企業は、加工貿易企業に転換すれば良いのであるが、販売会社は保税開発区・保税倉庫内の貨物売買行為には関与できなくなるし、保税区内で倉庫業を行っている企業が、新たに保税倉庫としての許可を取る必要が出てくる。この様な問題が多々生じるため、広州保税区内の企業は、どうするか(移転、営業範囲の変更、税関許可取得など)を早急に検討する必要がある。
広州保税区の廃止に付いては、国務院の承認待ちではあるが、ちょっと意外な方針決定である。