最近、「この本はどこで買えるのか?」というご質問をよく頂く。
アマゾンをはじめとするインターネットが一番確実だが、5年前の本なので、若干勧めにくい気もする。
この本では、組織変更の一つとして、来料の独資転換に付いて書いているし、撤退に付いても、結構分量を割いている。
2008年のリーマンショックのあおりで、撤退の検討が続いた時、TV東京(ガイアの夜明け)の人から「4年前にこんな本を書いてたんですか!」と驚かれたし、昨今の来料独資転換の動きの中でも、同じような事を言われた。
因みに、来料独資転換に付いては、その後の状況を踏まえてアップデートしたものを、NNAから、新加工貿易マニュアル(来料独資転換とその後の運営方法を含むもの)というような感じで出すので、こちらを読んで頂いた方が確実です(すいません、これは宣伝です)。
ともあれ、この組織変更・撤退マニュアルは、今でこそ驚かれたり話題に上ったりするが、早すぎて売れなかった。
組織変更は得意、という自負があっただけに、書いていて楽しかった本だが、あまり売れなかったのは悲しかった。
書くのがあと、3~5年遅ければよかったのか・・・
若干、話変わって、今の中国の進出・撤退状況はどうかというと、
撤退は少なからずあるが、進出はもっと多い。という状況。
先週、JETROの相談会をやった折、あるコマで、「いま、撤退の相談が多くて商売繁盛でしょう(その企業自身は内陸移転であったが)」と言われ、その次のコマでは「進出が多くてお忙しいでしょう」と言われたが、どちらも当たっている。
結局、昔から、いつも変わらぬ新陳代謝であろう。
中国の人件費をはじめとするコストが上がってきているのは確かなので(とは言え、まだまだ安いが)、労働集約的な産業は、内陸か中国外に移転せざるを得ない。
一方、インターネット、医療、ハイテク産業などを始めとするソフト分野、内需狙いの産業は、進出が今後さらに増えるであろう。
進出の最適地は、産業によっても異なるものだ。
では、昨今問題となっている政治、労働争議の影響はというと、一言で言えば、「今に始まった事ではない。そして、これからも変わらない(断続的に続いていく)」というのが回答だ。
それを踏まえて進出を検討する事になるのであろうが、多くの産業は、既に、日本の中に留まっている訳にはいかなくなっている。
先週、メーカーの方より、「日本で座して死を待つよりも、国外に活路を見出さざるを得ない。少なくとも、日本の中だけに留まれば、1~2年で行き詰まる」という発言が有った。
日本がこれほどの閉塞感を持つようになったのは、なんとも悲しい限りであるが、これが現状であるならば、それを踏まえた展開をせざるを得ない。
国際化は、既に、好き嫌いの問題ではない。
国際化に当たっての進出最適地は、上述の通り、その会社の業種、形態等によっても変わってくる。
中国の生産環境は、ハード・ソフト面の充実、調達・販売市場のすそ野の広さという意味で、他国に比べ抜きんでているとは思う。
ただ、社運をかけた決断ならば、決め打ちは避け、他国と見比べた上で決断すべきであろう。
資金的な余裕が有る企業であれば、中国+αという形のリスクヘッジが望ましいが、その余裕がない企業であれば、一番、リスクの少ない展開をすべきである。
海外展開にポリティカルリスクは避けられない。
どこに行っても、リスクフリーとはならないのが辛いところだが、それも踏まえ、判断を余儀なくされる。
その点、十分な調査をすべきであろう。
僕ももうしばらくしたら、久々に、中国外の視察に出かけてみようか。
とは言え、僕自身は、まだどっぷりと中国に浸かっていくつもり。
まずは、北方(北京)をはじめとする中国内広域展開に手をつけようと思っている。