ロックダウン7日目。今日もPCR検査が有った。自宅にキットが配布され、自己検査の上、アプリ報告するもの。既に5回目。3月17日に上海に戻ってから10回目の検査だ。
食糧備蓄は有るが、何時まで継続するかが見えないので、最悪を想定した消費が必要になる。その中で、居住マンションのウィチャットグループ(PCR検査や隔離の管理をするために、同じビル内の人が一つのチャットグループを作るもの)の人が、「外国人(西洋人・日本人)で物資が不足して困っている人はいないですか?」と呼びかけ、自分の備蓄を譲ってくれたりしている。親切な人がたくさんいるなと感心。
ただ、自分は備蓄で何とかなるので、暫く自助努力。
そうなると、色々考えなくてはならない。今までは、麺を茹でるのも、日本から輸入したミネラルウォーターを使用していたが、水道水に切り替えた。昔と違って、臭みがないので、特に問題が無く驚く。中国人の友人たちも、「ミネラルウォーターがもうすぐ無くなる」と悲しそうにアップしているが、煮沸すれば大丈夫だ。考えれば、僕が学生の時は、ミネラルウォーターを飲む日本人は殆どおらず、みんな水道水を飲んでいたな。
そして、麺を茹でるのに水道水を使うことになると、ミネラルウォーターが必要なスープ麺はぜいたく品だ。いきおいパスタが多くなる。ソーセージも小さいのを一本程度しか使えないのでちと悲しい。
1980年代にリビアのベンガジの工事事務所に駐在していた丸紅の先輩が、「朝から貴重な卵を食ったとかで、大の男が大喧嘩するんだよ」と、駐在の苦労話をしていたが、何となく気持ちが分かってきた。自分も、ロックダウン開始時に20個卵の備蓄が有ったので、1日1個と決めている。それでも、特につらいと思わないのは如何な事か。ともあれ、初心に戻る意味では、良い経験である。
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ロックダウン5・6日目
暫く前まで、隔離何日目、というタイトルでブログ更新していたが、いつの間にかロックダウン何日目に切り替わっている(笑)。してやられた感があるが、粛々と生活している。食材備蓄は有るので、心穏やかに過ごすだけ。自室で黙々と、自炊、仕事、筋トレをする日々だ。あと、PCR検査は今日を含めて4回実施。しかし、今年は既に、何回検査したことだろう。
思えば、2月23日から始まった青島3週間隔離の終了1週間前程度から、鰻屋でのんびり酒を飲みたいと思っていた。これが、依然として叶っていない。早くゆったりと日本酒を飲みたい。骨せんべい、白焼きと一緒に。
ただ、ロックダウン自体はさほどつらくはない。人間、一度経験した辛さまでは耐えられるようで、1989年の福州トレーニー生活が圧倒的につらかったのが大きい。あの時は、物資にも人間関係にも日本語会話にも、全てに飢えていた。国際電話を掛けるにしても、1時間3.5万円だったので、掛けるのが躊躇われたし。
そして、上海・香港(2020年、双方2週間)、青島(3週間)の隔離は別の意味で苦しかった。という訳で、相対的に楽なので、のんびりできているのだろうか。何が幸いになるか分からない。
ともあれ、物資は有効に使わないといけない。水もある程度節約する必要があるので、ラーメンも、水と粉末スープは半分にしているが、結構うまくできた。ラードを作ったときの背油も有効活用できたし。
工夫を重ねる日々だな。
ロックダウン4日目に残り物で料理を作る
ロックダウン4日目。午前中にPCR検査に行く。マンションの中庭で検査が有ったので、久々に外に出られると喜んで出かける。
何度も隔離を経験して分かるのは、部屋から廊下に出られるかどうか。その一歩には、天と地ほどの違いがある。そして、マンションの敷地内でも、建物の外に出られるかどうかは大きな違いだ。天気も良く、太陽を浴びながら、必要以上にのんびり歩いて、検査を済ませる。
検査を済ませると昼食。1.5年前に購入した香港風ラーメンに海老餃子を入れて食べる。一食分ずっと食べないまま残っており、何度も捨てようと思ったのだが、捨てきれずに取ってあったのが役立った。
そして、夜は葉ニンニクを使って中華風焼きそばを作る。これも間違って購入して、捨てるつもりだった葉ニンニクと、スープを使ってしまっており、捨てるつもりだった麺を有効活用。平常時なら捨てているものが、こんな感じで有効活用できた。限られた食材は大切にしなくてはならない。
そして、ストレス解消になるかと思い、暇つぶしをかねてラードを作る。数日前の政府支給品の豚肉の脂身が多い。これでラードを作れないかと考え、インターネットを検索。見よう見まねで作ってみた。説明に書いてあった通り、油がバチバチ跳ねるので難儀したが、まずまずの出来だ。そして、残った油かすは、即席麺や炒飯に入れると良いようだ。
ロックダウンのおかげで、いろんな経験が出来ている。面白いものだ。
ロックダウンの状況(無料動画2)
中国ビジネス動画の特別編。ロックダウンの第2回の無料動画です。渦中の水野がロックダウンに付いて語ります。
こちらからご視聴ください。
ブログでも解説していますが、なんだかんだで、個人的には楽しく(?もないかな)ロックダウン生活を送っています。また、同時期に隔離されている友人達とのウィチャットなどでの交流を踏まえ、ロックダウンの状況・向かうところはどうなっているか。渦中の人々は、どう受け止めているかを解説しています。
ロックダウン2・3日目(支給品をもらい料理する)
ロックダウンに際して思ったことは、中国人は生鮮品に対する思い入れが強い。まあ、僕が日本人の感性を代表している訳ではないので、適切な比較にならないかもしれないが、僕は、レトルト、米、麺の確保に動いた。あと、一番気になったのはミネラルウォーターだ。一方、中国人の友人・知人たちは、生鮮食品の確保を優先していた。
そんな違いを感じていると、ロックダウン2日目に、政府からの支給品が届いた。全ての家庭に配布されるようだが、その量にびっくり。なかなか鮮度の良い肉であるが、男の一人暮らしで、外食主体の生活だった。十分な調理器具、調味料が無い中で、どうしようかと暫し途方に暮れる。
ともあれ、まず思いついたのはカレーだ。どう考えてもカレー用の材料だ。30分ほどかけ、ビールを飲みながら調理する。
ロックダウン中は、インスタント食品に偏っても致し方ないかと思っていたので、まさか料理する事になるとは思わなかった。ただ、面白い事に、簡単な調理でもストレス解消になる。何となく、楽しくなってきた。、
そして3日目。午前にPCR検査をやる筈だったが取り消され、午後に検査キットを配られ自己検査する事となった。検査結果は数分で出る。結果が出たら、アプリで写真と一緒に報告する形式。
午後4時には検査と報告が終わったので一安心。午前中に、「ジャガイモは、ソーセージと炒めてみよう」。更には、「ネギと間違えて買ってしまった葉ニンニクを、捨てようと思いながら冷蔵庫に入れていたが、これは豚肉と炒めればよいのではないか」と思い、早速試してみる。
何やら不思議な成り行きで、2日連続の料理と相成ったが、そんな感じでロックダウン期間は経過していく。
ロックダウン初日は平和に過ぎる
ロックダウン前夜、同じビルの住人のウィチャットグループに入ると、ここで翌日のPCR検査スケジュールが通知される。日本人の住人がいることが分かっているので、日本語の案内まで流してくれる。親切だ。
アプリを使って翌日の予約をし、QRコードを取得する。これはスクリーンショットを撮っておく必要あり、検査時は、それを見せると、一瞬で登録が完了する。
朝、窓からのぞくと、意外に人が少ない。号棟、フロア毎に時間割当があるのだが、アプリを使った事前手続がしっかりしているので、個々人の検査時間が極端に短くスムーズだ。ウィチャットグループに、「いまは空いているので、時間通りでなくても大丈夫」との連絡があったので、早速出かけ、数分で検査を終わらせる。大変だったのは、エレベーターを使わず、階段を乗り降りしたことくらいか。これは、指定が有ったわけではなく、自分自身がエレベーターに恐怖感を持っているため(ロックダウン中に閉じ込められたら、誰も助けてくれないという恐怖感)。何分、日本(東京)で1回自分自身が閉じ込められ、香港で1回、閉じ込められた友人を救出したことがある。友人の救出は、自分が広東語が出来なかったため、1時間以上の時間を要した。それ以来、エレベーターは何時も怖い。
部屋に戻ると、蕎麦を茹でで食べる。食材は貴重なので、ネギは少なめ。
しかし、今回は正直感心して脱帽した。2000万人前後の上海市民を、1日で全員検査し、翌朝には検査結果を集計している。少なくとも、自分の身の回り(友人情報を含め)では、全く混乱が起きず、粛々と検査、ロックダウン管理が進んでいく。「これは凄いな」というのが、正直な感想だ。
ともあれ、ロックダウン期間は4日だが、少なくとも町内の感染者が0になるまで制限は続くので、あまり焦るのは良くない。幸い、食料も水もある。メンタルを前向きにもって乗り切ろう。
少なくとも、午後の窓の外の景色は、1985年の上海初訪問以来、経験したことが無い空気の良さと静かさ。小鳥のさえずりだけが聞こえる環境であった。その中で飲むビールは美味かった。
ロックダウン前日
浦西地域の封鎖は明日からだ。何やら、子供の頃に、雨戸を閉めて、数日分の食料を用意して、台風を待った気持ちに似ている。
そんな状況下、割烹Makinoの3月31日(ロックダウン前日)限定、特別おせち風弁当到着。日持ちがする食材で作った弁当。
そして、旧真木乃から分けてもらった牛肉。400g。新旧まきの(真木乃とMakino)にロックダウンの食材を助けてもらった。
牛肉は三分の一だけ食べてしまったが、ともあれ、この二種類と米が有れば、封鎖期間の食事は大丈夫だ。調達努力を金で解決した感の申し訳なさはあるが、ここは非力な外国人?だけに勘弁してもらおう。ともあれ、持つべきものは行きつけの場所だ。こういう時に頼りになる。
無料動画(上海の現状)
中国ビジネス動画もコンテンツが100本を超えて、毎月8本以上のアップを継続しています。
今後、サンプル無料動画を増やす、時事的な内容に関しての僕の感想など軽め?の内容を増やしていく予定ですので、是非、ご視聴いただければ幸いです。という訳で、無料動画のご案内です。
上海市ロックダウンの状況と企業対応
日本でも報道されているようですが、どうも日本の報道は極端なもの(随分、バイアスがかかったもの)ばかりに偏っている気がします。幸か不幸か?渦中にいますので、上海市の政策(これは資料提供だけでさらりと流していますが)と、自分の目から見たロックダウンの状況を語っています。
封鎖準備をしながら思う
昨日、ロックダウンを知ったときには、既に食料・水の備蓄を済ませていたので、改めての買い出しは不要だが、一応、付近のルイビトンビルまで様子を見に行った。
ビル全体には人は少ないが、地下の久光は満員とは言えないが、購入者の行列が長いので、「並ぶのが面倒」と思い、買わずに出てきた。一応、念のため、という事で、付近の小さな個人商店で水を購入。今まで、全く覗いてもみなかった(除く気にもならなかった)小さな店舗が、店の人が親切なのを発見。これが、今回の収穫かな。
その後、念のためウィスキーを2本買い出し。スーパーに行くと、酒と生鮮品のレジが一緒なので買いにくい。酒屋に行こうと自転車を漕いでいく。シーバスを2本。とりあえずロックダウンの4日間は、また禁酒日にして、筋トレをしようと思うので十分すぎる量だが、残しておけばよい。これで封鎖準備は完了だ。
街は、物が買いにくい事を除けば平和なものだ。中国内の報道では、内需の伸び悩み(輸出依存)の状況が危惧されているが、今日だけを見れば「え?購買意欲すごいよ」と、問題を忘れてしまいそうな状況だ。
しかし、35年の社会人経験(というか、1985年の大学の初中国旅行の経験以降)が、今回の様な時のメンタル維持に色々役に立っている。
切っ掛けは、大学3年。まだ糧票が有った時代(豊かになる前)の中国を旅行し、「物が無いときは、売る人の方が買う人よりも偉いんだ」というのを実感した。つまり、物が豊富な時はお客様は神様だが、物がなければお店様が神様だ。
こういった発想の転換をしたことが、自分的には良かったと思っている。これは、今後の日本で、十分有り得る話。自由貿易協定の確実な展開、健全な物価の引上げ、その前提となる雇用の安定をしないと、日本も「お店様」の時代になるよ(つまり、欲しいものが買えない時代が来るよ)、と危機感を持ちながら何時も思うのであるが、この話に共感してくれる方は、まだ少ない。
ともあれ、この備蓄時期にも、なかなか丁寧に対応してくれる今の中国の店舗は、1980年代(外国人がまず最初に覚える中国語は没有だと言われた時代)とは大違い。これは外国人として、感謝しないといけないなと思う。時代は変わった。