経験はあらまほしきものなり

新型肺炎流行の話でもちきりの昨今で、中国本土では、2月9日まではオフィスも開けられない状況。
それはそれで難儀だが、自分自身は、SARSの渦中に香港で過ごした経験が有るのが、精神面では役立っている。
あの時は、病気の怖さはあるのだが、それ以前に、順調に動き出したコンサルティング活動ができない焦りの方が大きく、色々とあがいたものだった。
例えば、NNAさんに共同企画を持ちかけて、SARS期間限定(とは書かなかったけど)無料面談受付。人と会うのがはばかられる状況なら、逆に来てもらおうという発想であった。

そして今回。精神的には、ずいぶん落ち着いている。何れにしても、病気は落ち着くであろうから(どんなに遅くても、暖かくなれば終息する)、今のうちに、出来る事をやっておこうという気持ち。行政機関に特別期間中の対応をヒアリングして、その情報をオンタイムで提供するというのも一つだし、本を書くのもその一つ。また、2015年に手を打っておいたベトナムも最近忙しく、こういう時に気がまぎれる。

ピンチだと思った時の対応が、長い目で見れば、却ってよい結果を生んだこと(信頼が得られた。チャンスにつながった等)は少なくない。これは、長い経験で検証済だ。
ビジネスには波がつきもの。いま出来る事を、しっかりやるのが重要だし、雑音に惑わされずに、じっくり(でも、少しは焦りながら)、自分にできる事をやっていくのが重要だろう。

新型肺炎対策の旧正月延期措置に関する人事労務Q&A

新型肺炎対策の旧正月延期措置(企業操業延期措置)に関する、当社会員様向け会報続報です。人事労務面でのご質問に関し、1月31日時点の上海市人力資源社会保障局での確認結果を、1問1頭形式で記載しています。

<引用>
いつもお世話になっております。
春節休暇延長措置に関する速報第2弾をお送りします。

2020年1月29日の会員様向け速報で、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大防止措置(国務院決定による2月2日までの 春節休暇延長、及び、上海市・広東省の2月9日までの企業操業再開延期)と、その施行解釈について解説しました。
今回は、同措置に伴う人事・労務関連事項に付いての、1月30日付、弊社上海と上海市人力資源社会保障局の質疑応答を、一問一答形式で下記します。

Q1.上海市の通知では、「2月9日24時前に操業を開始しないものとする」と規定されているが、この起点は、当該通知が公布された28日からか、あるいは一般的な春節明けの2月1日からか?
A.現在の特殊環境下においては、通常の春節休暇中(~1/30)に従業員を出勤させる場合も、原則的には、会社所在地所管の疫病防止・コントロール指揮部、若しくは、所管区に報告する必要がある。よって、当該通知による規制の起点は、通知公布日からと理解すべき。

Q2.休日延長期間(1/31~2/9)の給与計算上の扱いは、通常の出勤日扱いではなく、会社の普通休日(土日)と同様と理解してよいか?
A.2月9日まで従業員を出勤させず、且つ、在宅勤務もさせない場合は、通常の出勤日として扱い、給与を支払う必要がある。
休日延長期間中(1/31~2/9)に、所管部門の審査を経て従業員を出勤させる場合、及び、従業員に在宅勤務させる場合、通常の出勤日扱いではなく、土日における出勤に基づき、残業代を支払うか、代休を与える必要がある。

Q3.派遣社員(月給ではなく、時給制)の場合、休日延長期間(1/31~2/9)の給与計算上の扱いは、通常の出勤日扱いとする必要があるか?
A.Q2の回答と同様に、出勤させず、また在宅勤務もさせない場合でも、理論上は、通常の出勤日扱いとする必要がある。但し、派遣社員の場合、具体的にどのような賃金基準に基づき給与を支払えばよいかについては、明確な規定はない。
尚、弊社の意見として、今回の特殊状況下では、当該従業員と相談の上、まず現地の最低賃金基準に基づき支払い、今後関連実施細則が公布された後に改めて補足支給する。もしくは、過去の月平均収入に基づき支払うといった方法が検討可能と思われます。何れにしても、時給形態の派遣社員の場合は、派遣元である派遣会社と協議すべきと考えられます。

Q4.2月10日直後に給料支給が必要な場合、その支払いを遅滞なく行うべく、2月10日以前に、関連社員(人事部・経理部の社員等)を出社させる事は可能か?
A. 企業操業再開延長期間中に社員を出社させる場合、所管疫病防止・コントロール指揮部、あるいは所管区に、説明資料を提示した上で申請し、審査を受ける必要がある。審査を経ずに、出社させることはできない。
※但し、弊社が1月29日に所管疫病防止・コントロール指揮部のひとつである、浦東新区陸家嘴街道疫情防控弁公室に確認したところ、具体的な申請手続きは上級管理部門に確認中とのことであり、実際には出社させることは難しいと思われます。

2003年当時を思い出す

ずいぶん時系列が狂っていますが、1月18日の出来事です。
1月20日の福岡銀行主催セミナーに合わせ、1月18日に香港から日本に移動。その折、香港のキャセイラウンジで、のんびりしているところ。
ラウンジに置いてある、香港クラフトビールが、ドラゴンズバックからグワイオーになったが、両方美味しい。

本来は、福岡銀行主催セミナーは、旧正月期間中にしてほしいとお願いしたのだが、関係者の都合で1月20日になった。「早すぎる」と内心不満に思っていたが、結果、業務上の影響が回避できたので、却って幸いであった。

ただ、2月4~11日に上海入りする予定が、キャンセルを余儀なくされた。これは、上海市政府の方針で、2月9日まで旧正月が延びた(感染対策であるため、出社は禁止)ためだが、1ヶ月以上日本に滞在するのは23年ぶりなので、不思議な気分だ。
尚、2月9日までの出勤制限措置に関して、1月29日・30日に、上海市の疫病防止・コントロール指揮部、人力資源社会保証部にヒアリングしたが、旧正月期間中にも拘わらず、ちゃんと対応してくれている。非常時とはいえ、中国も変わったなという感じだ。

2003年のSARSの頃は、香港で過ごし、怖い思いをした。とはいえ、入出国制限は実施されず、飛行機も電車も動いていた。
今回は、中国内の陸路も、早い段階で封鎖され、移動が制限されたというのは、当時の教訓が生かされていると言えるであろう。
ただ、感染性の病気は、一旦流行すると、しばし抑止が困難になる。SARSの頃は、一息ついたのが5月頃だったと記憶しているので(香港で、完全な終息宣言が出たのは7月早々だったか?これはちょっと記憶があいまい)、もう少し辛抱が必要かもしれない。
2003年は、コンサルティングビジネス開始早々で、病気の怖さより、仕事ができないイラつきが勝った。今回は、自分自身も、その時の経験と教訓を生かし、どっしり構えるかという気になっている。

新型肺炎に基づく旧正月期間延長措置

旧正月延長に関する会報です。クライアント様向け情報ですが、ここでも公開します。
2月2日までの延長に加え、上海市・広東省では、2月9日までの延長が行われています。1月29日の、浦東新区陸家嘴街道疫情防控弁公室のでヒアリング結果を踏まえ、下記します。

<会報引用>
新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大防止措置として、国務院は1月26日に「2020年春節休暇延長に関する通知(国弁発明電[2020]1号)」を公布し、春節の休暇期間を2月2日(日)まで延長することを決定いたしました。
この措置を受けて、上海市や広東省は独自の春節休暇延長措置を公布しています。
この国務院、上海市、広東省の各春節休暇延長措置の内容を、速報としてお届けします。

1.国務院の通知(国弁発明電[2020]1号)の内容
(1)春節休暇期間を2月2日(日)まで延長し、2月3日(月)から正常出勤とする。
(2)各地の教育機関(中文:大専院校、中小学、幼儿園)の授業再開を遅らせ、具体的な時期は教育部門から別途通知する。
(3)感染拡大防止のために休暇が取れない職員については、労働法の規定に従い代休を手配しなければならず、休暇返上期間の報酬は関連政策にもとづき保障されなければならない。
●国弁発明電[2020]1号(原文)

2.上海市の措置
上海市政府が1月27日に公布した、「上海市における企業操業再開と学校始業の延期に関する通知」に記載された内容は、以下の通りです。

(1)上海市内の各種企業は、2月9日(日)の24時前に操業を再開しないものとするが、水道・ガス・電気・通信など都市運営に必要な業種、医療器械・薬品・防護品生産販売など感染拡大防止に必要な業種、スーパーマーケット・食品生産供給など人民生活に必要な業種、および国の経済と人民の生活にとって重要な企業は除外する。

(2)上海の各級・各類学校(中文:高校、中小学、中職学校、幼儿園、托儿所等)は、2月17日(月)の前に授業を再開しないものとする。これより前に学校は生徒の帰校やいかなるオフラインの授業活動と集団活動も行わない。授業再開の具体的な時期は、状況をみて決定し、公布するものとする。

(3)業務上の都合で近日中に上海に戻る人員に対しては、各関連部門と所属組織は検疫検査と健康保護を強化したうえ、所属組織はオンタイムに関連情報を報告し、疫病流行の重大地区から来た者、行ったことのある者に対しては一律厳格な医学的観察や隔離といった措置を行う。
●上海市における企業操業再開と学校始業の延期に関する通知(原文)

3.上海市の通知の解釈文章
28日に公布された、上記上海市の通知の解釈文章によると、特に感染拡大防止物資の輸送に係る物流業や、人民の生活・供給に係る家政サービス業、スーパーマーケットなどは予定通りに操業を再開することが勧められており、医療器械・薬品・防護品生産など感染拡大防止に必要なサプライチェーンに属す企業は、前倒しの再開と生産能力拡大が要求されています。

また、特殊要因により、2月10日(月)より前に操業を再開したい企業は、説明資料(外来従業員の流動状況を含む)、疫病対応マニュアル、及び疫病や感染が出現しないことを保証する承諾書などを、所管疫病防止・コントロール指揮部あるいは所管園区に提示・報告し、審査を受けた後に操業を再開できます。ただし、規範に合致しない状況や感染者が発生した場合、生産経営停止の上、企業の責任が追及されます。
(※1月29日時点で所管疫病防止・コントロール指揮部のひとつである、浦東新区陸家嘴街道疫情防控弁公室に確認したところ、具体的な申請手続きは上級管理部門に確認中とのことでした)

なお、今回上海市政府が実施する春節延長期間は休日扱いとなるため、疫病防止・コントロールのため出勤する必要がある従業員に対しては、残業代(給与の2倍)を支払うか、代休を与える必要があります。また企業の要求に従い在宅勤務した場合も、休日残業として扱う必要があるので、残業代を支払うか、代休を与える必要があります。
●同通知解釈文章(原文)

4.広東省の措置
広東省政府は1月28日に、「企業操業再開と学校始業の延期に関する通知」を公布しており、基本的な内容は上海市と同様(上述(1)、(2)、(3)参照)となっています。
ただし(2)について、広東省では、幼稚園・小中学校は2月17日(月)の前に授業を再開しないものとされ、その他(中文:大専院校、中職学校、技工院校)については、2月24日(月)の前に授業を再開しないものとされています。

●広東省政府・企業操業再開と学校始業の延期に関する通知(原文)
●広東省政府・企業操業再開と学校始業の延期に関する通知(原文)

上海ペニンシュラで会食

福岡での講演会を先にアップしてしまったので、時系列が狂ってしまったが、1月12日に上海ペニンシュラで中華を食べた。
このレストラン(広東料理)は、両親の上海旅行時に初めて行ったが、味もサービスも素晴らしい。

ただ、今回は2名だったので、一番食べたかったガルーパが食べられず(大きすぎるので)。店の方が、タラはどうだと勧めてくれるのだが、さすがに、ガルーパからタラでは不満が残るので却下。思案の結果、ロブスターにしたが、残念ながら、味付けは僕の好みではなかった。

すっかり、ガルーパと白米という気分だったが、ロブスターのトマト味と白米が会わないので、チャーハンに変更。シンプルなチャーハンが食べたかったが、これも店員さんお勧めのホタテと肉のチャーハンを頼む。この店で一番のチャーハンだ!と力強く押してくれたが、これまた僕の好みに合わず。南方米を炒めた硬さを素直に味わいたかったのだが、ホタテの柔らかさが邪魔をする。単なる好みの問題なのだが、残念ながら、店員さんと僕の好みが違う。親切で好感の持てる店員さんだが・・・
人間関係、たまにこういう事が有る。

食後は、蘇州河を渡り、上海大廈の方まで歩いてタクシーをつかまえる。なんだかんだ書いたが、楽しい会食であった。

中国で仕事を始めて30年(駐在累計24年)。自分では長い歴史で、それなりの経験をしてきたつもりだが、この街が経験してきた歴史と比べれば、何とも些細な出来事ばかりだろう。
ここに来ると、いつもそう思う。

福岡で久しぶりの講演会

1月18日(土)に、香港から東京に移動。そして、翌日に、福岡に。目的は、福岡銀行主催(水野コンサルタンシー、明倫法律事務所共催)の講演会登壇。
福岡では、福岡銀行と提携した2017年に、記念企画のパネルディカッションを行ったが、正式な講演会は、2015年以来15年ぶり。ずいぶん久しぶりだ。

飛行機搭乗前に、羽田空港にてラーメンを食べる。七だし屋という、だしにこだわったラーメン店という事で、上品な味だったが、その時の気分としては、カレースタンドのカレーを食べた方が良かったかなという感じ。
そして、翌日12時に福岡銀行に集合して講演会。

中国・アセアンの日系企業の状況と、香港の現状について解説した。前にもブログで書いたが、香港は小康状態。まあ、現状であれば、旅行にこられても良いかな、という感はある。火種が消えたわけではないので、何時どうなるかは判断できないが。


講演&宴席が終わるとどっと疲れが出て、翌日の予備日は殆どホテルで休憩。とはいえ、夜には、旧知の方と会食で、ほどほどに蕎麦屋で飲む。

そして福岡空港のはなまるうどんで昼食を取り、羽田へ移動。

水野上海の忘年会

1月13日は、水野上海の忘年会であった。中国は、旧暦で祝うので、いまは忘年会真っ盛りだ。
一昨年は和食。去年は焼き肉(但し、体調不良のために自分は参加できず)。そして、今年は中華の海鮮だ。

1階で魚、具材、酒を購入し、レストラン階で好みの味に調理してもらうスタイル。最近流行りの様だ。
上海法人は、商務、財務共に、年度目標を達成したので、取りあえずはお祝い。水野グループとしても、二年連続全拠点黒字を達成したので、まずは、ほっと一息という事でお祝いだ。


ただ、年度始まりは、不安ばかりが先に立つ。これは、20年近く前から毎年同じだ。去年の「初全拠点黒字」は気分が高揚したが、二年目になると義務になり、プレッシャーしか感じない。
会社は永遠に存続させねばならない。途中終了は従業員の不幸であり、経営者の負けを意味する。そうであれば、会社経営というのは、永遠に続く苦行に思える。

そんな思いが強いけれど、社員の明るい表情を見ると、まだまだやれるという気持ちになる。年に数度の会合も、自分のモチベーションと闘争心を維持するための大切な機会になっている。

ともあれ、今年も頑張らねば。攻めの気持ちを忘れずに。

上海に移動

巨大なハンバーガーを食べた翌日、昼便で上海に移動する。

前日のハンバーガーがまだお腹に残っているようで、全く空腹感がない。ラウンジで、朝昼兼用の食事をすべく、シリアルと南瓜粥を食べる。南瓜粥は2口分。シリアルも少し。

3月の講演依頼が有りお受けした。これで、1~3月は、10件の講演会が決定している事になる。時間が早く過ぎていく感があるが、頑張っていこう。

疲労がゆえの・・・

新年度になると、各拠点の総経理から、今年は苦しいのでこうして経費を削りたいという様な相談を受ける。昨年、これだけ利益が出たのに(2年連続全拠点黒字を達成)、いきなり変わるまいとは思うのだが、思い起こせば、自分も丸紅時代は、正月は1年で一番いやな時期だった。頑張って目標を達成したのに、年が改まると一転してリセットされて、また一から頑張らなくてはならない(決算期は12月だった)。それが、プレッシャーと不安となって襲ってくるのが1月だった。
部下たちも、同じような気持ちになっているというのは、拠点長としての自覚の表れであろうから、頼もしいという感じはする。
また、そういう不安が有るときに、上に水野がいるから何とかなるという精神安定にもなっているようなので、一応、社長の役目は果たしているのかなと、自分自身に対しても思う。

ただ、自分はプレッシャーを相談する相手(上司)がいないのは、それなりに辛い。これはオーナー社長の宿命だ。
この日は、そんなプレッシャーが食欲に向かった。香港のオフィス契約更新手続きが有ったので、それを終えるとチムトンに行き、巨大なハンバーガーを完食する。
さすがに、ポテトは三分の一程度しか食べられなかったが、その後、翌日の午後まで、お腹が空かず。
ただ、食べるだけではストレスは解消せず。やはり、仕事に打ち込むことでしか、経営の不安は解消できない。

深圳日帰り

深圳日帰り出張で、クライアント様を3社訪問した。福田・南山はサービス系。宝安は製造業だ。かつては、深圳の工業地をよく訪問したが、ちょっと間が空いてしまった。
この日の深圳は、冬とは思えない暑さで、強い日差しに刺されながらの移動。12時半に羅湖のシャングリラホテルで、広州総経理の麦さんと合流したが、面談が終わって、また羅湖に戻ったのは17時半であった。

香港に戻る前に、深圳で食事をしようと思い立ち、粤海ホテルの付近で食事ができる場所を探し、ぶらっと入ってみる。
これが当たりであった。メニューの内容が非常に良く、店員さんも感じがよい。

タラの芽の天ぷら、さつま揚げ、串カツを頼み、焼酎を飲む。
早い到着だったので席が有ったが、18時半以降に予約なしで来た人は、席がないと断られていた。商売繁盛だ。

食事が終わると、羅湖口岸まで30分ほど歩いていく。食後の散歩だ。僕が香港駐在を開始した1990年代は、深圳と言えば怖いところだった。それが、嘘のように平和になっている。20数年の劇的な変化には、驚くばかりだ。

深圳が安全で平和になり、そして香港が変わらない(というか、香港の治安が悪化している)。それが、双方の立ち位置やパワーバランスに影響を与えている気がする。

中国ビジネスコンサルタント水野真澄のブログ