ホーチミン(3つの工業団地を訪問する)

午前は、タンツゥアン輸出加工区とロテコ工業団地。
午後は、アマタ工業団地と日系銀行を訪問する。

タントゥアン輸出加工区は台湾系の工業団地で、最も早く開発された外資系の開発区である。その為、立地も良く(市街地に近く)、ほぼ満杯の状況。
残っている面積は、一般企業用8万平米と、ハイテク企業用30万平米で、拡張予定は無いらしい。そのせい(積極的にセールスする必要がない)か、2041年までの土地使用権、つまり、いまから35年有効のものが、US$108/?と、極めて高い値付けがされている。
この価格だと、?あたり約860元となり、期間が短い事(中国の場合、購入以降50年)を併せて考えれば、上海外高橋保税区よりも高い。
その割には、保税地域のゲートも可愛らしい、こじんまりした開発区という印象。
ベトナムでも、中国と同様、工場単位で保税許可が取れるので(中国の来料・進料と同様の制度)、他の開発区は、殊更、保税開発区の許可を取っていない様であるが、タントゥアン輸出加工区は、数少ない保税開発区である。
ただ、名称は、輸出加工区であるが、サービス産業の受け入れも行っている事や、輸出比率の義務が明確になっていない事を考えると、その位置づけは、輸出加工区というよりは、保税区に近い。



ちょっと興味を引いたのが、2002年末から、この輸出加工区内に、国内流通・広告・建設など、区外では禁止されているサービス産業の外資企業を設立する事が認められている事。
その試みは、中国の保税区企業のモデルを踏襲したもののようだ。
これらの、サービス企業用のビルも建築中で、来年中に完成予定との事。
とは言え、現段階では、政府の方針決定はされているというが、法整備ができておらず、このモデルを採用した企業は少ないようだ。
しかしながら、民間の工業団地に、この様な優遇措置を与えると言うのは、ベトナムの対応が柔軟という事もできるが、どちらかと言えば、かちっとした法整備ができていないが故と判断したほうが正解であろう。



その後は、双日が60%出資をするロンビン・テクノパーク(LOTECO)と、アマタ工業団地(タイのアマタコーポレーションが56%出資。伊藤忠が間接持分を所有)を視察。
双方、インフラの整った工業団地と見受けられるが、残念ながら殆ど空き地は残りわずか(LOTECOは空き地なし)。
アマタ工業団地に付いては、拡張準備中のため、現在でも商談可能との事。
アマタ工業団地は、よく整った工業団地であったが、視察直前に、デジカメの調子が悪くなり、写真が撮れなかった。
大変残念である。



夕食は、ととや(魚屋)という日本料理に行く。
昨日の夕食はイタリアンだったし(僕の希望)、夕食にベトナム料理を食べなくて良いのか、という一縷の疑問もあったが、実は、僕はあまりベトナム料理が好きでもない(嫌いではないが、積極的に食べたいとも思わない)ので、「まあ、昼にフォーを食べたからいいや」と自分を納得させ、居酒屋系の店に行った次第。
魚の干物の種類が多く、またこれがおいしい店であった。
13年前は、ベトナムで日本料理など、殆ど望むべくもなかったが(1〜2件、それっぽいのが無いことはなかったが)、現在では、ホーチミンだけで数十軒の日本料理屋があるらしい(聞く人によって、30〜50軒と数字のブレが大きいので実際の件数は分からず)。
ここは、一方通行で、道の反対側にしか自動車がつけられないのであるが、道は、すさまじいバイクの大群である。
走るスピードが結構速いので、中国より道を渡るのが怖い。
そこで、この店は、「道路の渡らせ人」とも呼べるおじさんがいて、バイクの大群を魔法の様にひょいひょい抜けて、道の反対まで迎えに来て誘導してくれる。
これはすごい技術だ。
道を渡るのが苦手な僕には、敬服に値する存在だ。
今回のベトナム出張で、一番感動したのは、このおじさんかもしれない。

食後は、宿泊のカラベルホテルのバーでビールを飲む。
なにやら南国、という感じ。
あまり緊張感を感じない国になったものだと感心。