昼にビール片手に物思いにふけった

最近、心労がたまっているので、昼だけどビールでも飲んでみるかという気になった。
太古坊(Taikoo Place)というところに、ちょっと感じのよいパブが何件かあり、外で飲める店もある。
ビルの陰になって海は直接見えないが、それでも、海風が吹いてくるようで、ちょっとリラックスできる場所である。
一人でぼんやり外に座って、ドラフトビールとフレンチフライをゆっくり味わう。
目の焦点をぼんやりさせて、通りを行過ぎる人を眺めて、昔のことを思い出す。

台湾での語学研修生の頃、研修から帰って早稲田で一人暮らしをしていた頃、週末の昼に、一人でビールを飲んで将来を考える事があった。
早稲田には、大学時代の友人の釜口君も住んでいたので、二人で将来の夢を語る事があった。
彼は、不動産鑑定資格を取って独立したいといい、僕は、いまいち夢が定まっていなかったけど、経理をやっているから税理士の資格を取って独立するかと考えていた。
中国語ができるので、横浜で、中華系の会社を顧客にしようかと、そんな事を考えていた。
まだ二人とも資格も取っていなかったし、なにより20代で、先がどうなるかさっぱり分からなかった。

その後、彼は希望通りの道を歩んで独立し、僕は、税理士は部分合格のまま香港に赴任したので、資格が取れないままだけど、当時思い描いていたより良い自分になっていると思う。
本を出せるなんて、20代の頃は考えてもみなかったし。
そんな風に考えれば、あの時語っていた夢は、お互い、途中段階としては想像以上に上手くいっている事になる。


今まで、20代の頃に戻りたいと考えた事は一度もなかった。
10代、20代の自信の無い自分が好きではなかったから。

それでも、一人、ドラフトビールを片手に考え事をしていると、しがらみが無かった20代にふと戻りたくなった。
そんな事を思ったのは、今までではじめての事だけど。

週末の昼下がり、たまには一人でビール片手に物思いにふけるのもいいものだ。


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