寿司屋の思い出

寿司屋のイメージ

もう20年以上前の話なのだけれど、初任給は忘れもしない148,000円であった。
残業代を殆ど申請しなかったので、毎月使えるお金は15万円程度だったが、寮費が3,000円と、実質無料であったし(その分、かなり老朽化が進んでいたが)、実際にはかなりの残業量だったので、お金を使う時間も無かった。

更に、昼食はいつも社員食堂(170円のカレーライスばかり食べていた)。楽しみは、終電で寮のある志木駅にたどり着いてからのラーメンという生活。

そんな環境の中、唯一の贅沢は寿司屋であった。
たまに残業が夜10時前に終わった時、同僚と誘い合って、会社の近所の寿司屋に行った。
全く高級ではない寿司屋(純米吟醸などおいてない寿司屋)であったが、1年前までは学生で、チェーンの居酒屋しかいけない状況だった訳だ。
刺身は頼まず、握りだけという注文だったが、自分の金で寿司屋にいけるというだけで、「俺もちょっとえらくなったぞ」と悦に入っていた。
若い頃は欲が無い。

街中で見かけた焼鳥屋

それから随分時間が経ち、寿司屋の感動が、殆どなくなった。
年齢と共に、食べるものも高級になっていったからだろう。
確かに美味しい寿司屋に行けば、それはそれで満足するが、個人的にあまりかしこまった場所が好きではないので、どちらかと言えば、焼き鳥屋の方が好きだ。

日本に帰ってきて、夕方、立ち飲み屋に人があふれていると、「いいなあ」と立ち止まる。
路上にスチール椅子でも置いてあり、皆が笑いながら飲んでいる姿を見ると、羨ましくなる。
昨日、街中の焼鳥屋(営業前)を見て、「こんなところで何人かで飲みたいものだ」と思い写真を撮った。