報道に付いて

海外で日本人の方々と話していると、必ず話題に上るのが、日本の報道に対する違和感で、先週の宴席でも、二日連続話題に上った。かつてのTPP、最近のRCEPの締結を例にとると、必ず、「結ぶべきではない(結んだら日本は大変なことになる)」、「米国や中国に押し切られる政治家が情けない」というような発言が出てくる。その背景となっているのは、日本とASEANは連携を強めているし、一方、中国ASEAN間は悪感情が強まっているから、(中日間初のEPAである)RCEPは結ばず、中国を孤立させた方が良いという意見を持つ日本人が、相当数を占めていることだ。
ところが、現実は、この図の通りだ。

これは、2005年から2020年の中国とASEANの貿易額(赤)、日本とASEANの貿易額(青)、日本と中国の貿易額(黒)の推移だ。これを見れば分かるように、日本とASEANの貿易額は、15年間殆ど増えていないにも拘らず、中国とASEANは、2011年の中国・ASEAN間のFTA発効以降急速に伸び、(2005年時点では日本ASEAN貿易の方が、中国ASEAN貿易よりも若干多いのに)2020年時点では、日本ASEAN貿易の3.6倍にまで増えている。この数字を見れば、孤立する危機を認識しないといけないのは日本の方であるのが分かる。
そうならないための努力がRCEPだということ。
一つの出来事に対して賛否があるのは自然なことだし、それは正しく報道されるべきだ。ただ、こうした現実を認識しないと、適切な判断はできない。
日本の報道は、日本は大丈夫・すごいというトーンで占められている。自信を持つのは良い事だが、現実を正しく認識していなければ、適切な判断ができず、悲しい未来が待っている。
日本人にとって、一番大切なのは、日本が経済力をつける事である。そして、それが国力や世界的な発言力の増強につながる。そのためには、冷たい現実を直視し、それに基づき、正しいアクションを起こすべきだ。

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