会社員と起業家どちらが辛い?

元同僚と話していると、「水野さんの苦労に比べたら、僕は会社員でまだまだ甘いですから」とよく言われる。
以前、僕自身も起業している人に、同じような事を言っていた記憶がある。

ただ、独立して初めて分かったのであるが、どちらかと言うと、会社員の苦労(精神的な苦痛)の方が、はるかに大きい気がするし、自分を律する努力も大変なものだと思う。
やはり、「(行動・発言の)自由を制約される」というのが、人間、一番きついからだ。
とんでもない上司に付いて(時には困った部下を持ち)、理不尽な苦労を強いられている人も少なからずしている訳だし。

あと、僕が会社時代に嫌だったのは、議論の為の議論が多すぎる事。
僕は管理部門だった事もあり、しょっちゅう「牽制か問題解決か」という議論が身の回りで行われていた。
問題が起きない様に管理けん制するのが管理部門の仕事か、問題が発生した時に解決するのが管理部門の仕事か、という意味である。

僕は、問題解決家というイメージが比較的強かったようで、総じて管理部門内の人間が、「管理の本質はけん制だ。代わりに解決しては本来の我々の仕事に外れるのではないか」と言う様な議論を仕掛けてきた。

それに対して僕は、「どちらも重要な仕事だ。議論している暇があったら、さっさと働け」と考えていた。
二者択一を迫る事自体に無理があり、それを前提にした議論は無意味だ。
それに時間を浪費するくらいなら、その時間働いていた方がよい、というのが僕の立ち位置。

ただ、これは一例で、コンサルティングをやっている時も、「商社がコンサルティングをやる意義は」、「会社の中でどう位置付けるか」等等、いろんな議論があり(それ以前に、やるべきかどうか、という議論)、そして、それに対する回答書を何度も書かされた。
業務の一環で指示されたので、真面目に対応したが、結局、資料はまったく利用されなかった(上司に提出する為だけの資料と言う事)。

そんな事で、人の性格の向き不向きはあるのだが、「まず動いて結果を出そう」という考えが強い人間には、組織の中で動く事が苦行に感じる事が多々あるのは確かだ。

まあ、これも各人の状況は千差万別。
二者択一をする事自体、議論のための議論かもしれないが・・・
ただ、会社員は楽じゃない、というのは確かな事だ。

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