かなりの日本人社員が、「そう思います」というべき事を、「そうです」と発言する。
これは、僕にとってすごく嫌なこと(困ったこと)である。
ただ、部下がそういう発言をする理由の多くは上司にある。
なぜなら、「そう思います」、「よくわかりません」と言った途端、「なぜしっかり調べないんだ!」と怒る人がいるからだ。
僕が部下に必ず言うのは、「そうです」、「そう思います」、「よくわかりません」の区別だけは、しっかりつけてくれ。これは、絶対に間違えるな(わかりません、と言っても怒らないから)、という事である。
社会に出ると、学生生活とは違い、完全な情報だけでなく、不確かな情報が入り混じった中で、真実を探し求めていく作業が必要になる。
どちらかと言うと、不確かな情報が多い。
その中で、集められたデータを的確に判断して、回答に導いていく(意思決定をしていく)のが重要な作業になる。
これは、会計・税務、コンサルティングだけでなく、営業でも同じだろう。
つまり、警察と同じ真実探求のステップが必要になる訳だ。
その中で、部下が、不確かな情報を、「そうです」と断言すると、誤った方向に話が進み、最後につじつまが合わなくなって、軌道修正するまでに、数十時間を無駄にせざるを得ない事がある。
それならまだいいが、最後まで、正解にたどりつかない事もある。
その点、もし部下が、
<そう思います>と答えたならば
(断定できない)不確かな部分はどこかをお互いに協議し、何を調べたら確証に近づけるかをアドバイスできる。
<よく分かりません>と答えたならば
① 経験不足で判断できない場合
僕、若しくは、他の経験者を探して、判断・アドバイスを頼む事ができる。
② 情報が不十分で判断できない場合
情報を探るための方法を一緒に考える、若しくは、指示できる。
という対応が取れる。
不確かな事(確度が100%でない事)を、そうです、と言いきられると、この様なステップが閉ざされ、特に、何人かの部下に、同時進行的に調査指示をしてる場合、全体の調査に悪い影響を与えるのである。
組織的に仕事をする場合は、
部下から情報を引き出して、適格な判断をすべきは上司の役目。
上司に間違いの無いデータを与えるのは部下の役目。
になってくる訳なので、部下はもとより、上司の方としても、(ニュアンスも含めて)正しい情報を部下から引き出すシステムを考えるべきだと思う。