会社を辞めるなら惜しまれて

以前、なぜか笑介という、商社をテーマにした漫画があり、新入社員の頃はよく読んでいた。
若干、落ちこぼれっぽい主人公が、良い仲間に支えられて成長していく話だが、僕が新入社員の頃は、理想と現実のギャップと、働くという事の厳しさに悩んでいたので、そんな時によく読んだ。
その中で、今でも覚えているのは、「惜しまれる状況でないと、会社を辞めるべきではない」という感じのセリフだ。
辛さに逃げ出そうとして退職しても、結局、新しい職場でも失敗する。
やる事をやって、自分も辞めたくない、周りも会社にとどまってほしいという状態でなら、退職しても未来が開ける、という趣旨だったと思うが、最初の1年は、この言葉をいつも思い出して、会社を辞めたい気持ちを抑え込んでいた。

そこから約22年。
良い仲間に恵まれ、中国研修をさせてもらい、仕事の面での最大限の自由を与えてもらう、という、ありがたい環境の中で、会社にとどまる事ができた。
丸紅を退職して既に3年半が経過したが、本社人事部の部長席から、今でも水野は丸紅の財産だと言ってもらえたり、戻ってこないかと言ってもらえたりするのは、リップサービスでもありがたい。
勿論、一番大切なのは、部下であり、クライアントの方々なので、それを投げ出すわけにはいかないが。

社会人人生、辛い事は多々あり、逃げ出したい事もある。
ただ、辞めるなと人から言ってもらえるような環境を、自分で作る努力をするのが大切なんだろうな、と思う。