中国からの配当というのは、原則としては対外送金上の問題は殆どないのだが、オンタイムに実行できるかどうか、というのはまた別の話だ。
配当送金時には、確定申告書、会計監査報告書、董事会決議書を準備する必要があるので、確定申告前に実施する事はできない。
確定申告は翌年5月末が期限なので、それから董事会決議をするとして、最速で6月という事になる。
また、配当額がUS$3万を超過すると、匯発[2008]64号の規定に基づく税務局の許可が必要になるし、香港に対する配当だと、企業所得税の源泉徴収が5%に軽減されるので(日本に対する配当の場合は10%)、租税条約適用に関する事前登記(国税発[2009]124号)が必要だ。
因みに、租税条約適用の事前登記証の有効期限は3年間。
そんなこんなはあるけれど、6月末には配当ができると期待して、作業を急いでいたが、
上海は、税務局内の人事異動で業務が手に付かないのでしばし待てと言われる。
広州は、事前登記証の有効期限がまだ1年残っているのだが、所管の税務局のシステムが変わったので、再申請が必要と言われ、法律云々ではなく、税務局の事情で事前登記の再申請を余儀なくされる。
こんな感じでずるずる時間がかかったが、上海の送金許可(税務局の許可)は本日取得できた。
広州は、8月上旬くらいとか。
いくら自由化が進んでいるとはいえ、日本や香港の感覚(特に、時間感覚)で物事を考える訳にはいかない。
まあ、8月初旬に双方から送金を受ける事ができれば、よしとせねばならないだろう。
そんな作業をしていて思い出したのが、中間配当の事。
中国でも、一応、中間配当の制度はあるが、財務状況の良好性に関する一定の要件をクリアした上で、所管税務局の確認を要すると規定されている。
ただ、この様な優遇措置に関して、所管税務局の許可を取得するのは、現実には極めて困難。
仮に、税務局と交渉して、許可が取得できるとしても、通常の期末配当ですらこんな感じなので、中間配当など、許可に何か月かかるかわからない。
結果として、ずるずると数か月が経過して、期末配当の時期が来てしまう事態が容易に想像できる。
制度的には中間配当は可能なので、検討する企業の方もいるのだが、実際には、こんな理由でまず無理と考えておいた方がよい事になる。
実務をしていると、ここらへんの感覚が良く分かる。