温かい会社

丸紅をやめて2年経過したが、いまだに、丸紅の役員クラス、更に上のクラス、はたまた僕より若い人たちまでが、僕に顧客を紹介してくれたり、取引先や経済団体等に僕を売り込んでくれたりする。
もう社員でもない僕を、こんなにたくさんの人が気にかけてくれる訳だから、本当に温かい会社だと思う。

会社を辞める時、いろいろな人から、「丸紅の顧客は全てなくなると考えておいた方がよい」と言われたし、僕もそうだと覚悟していた。
ところが、退職のさなか、真っ先に支えてくれたのは丸紅の人たちだったし、水野商務諮詢(広州)有限公司は、いまだに丸紅広州現法のオフィスに間借りしている。

また、良い会社にも例外は数人いて(了見の狭い人間というべきか)、自分たちでコンサルティング撤退を決めたにも拘わらず、僕が退職を決意した途端、僕をつぶしにかかってきた。
退職後にコンサルはしない・部下を引き抜かないという内容の誓約書を書かせようとしたり、つぶす筈だったM&Cという会社を、僕と競合させるために存続させる事にしたり、退社の最終日まで印税を返せと迫ったり、社内で悪い噂を流したりと、恥も外聞もない攻撃をしてきたが、こういったもくろみを、基本的に潰してくれた(浄化してくれた)のも丸紅という会社だった。

丸紅に入社したのは、ある意味偶然だったが、結果として、本当に良かったと思う。
今のビジネスの基礎を、全て学ばせてくれたし、最大限に力を発揮できる環境を与えてくれた。

退職は本意ではなかったが、顧客と部下の信頼を守るために決意した訳なので、この先、たとえ、戻ってこいと言われても、戻る事はないだろう。
偶然生じた歯車のかみ合わせの違い(何千人もいる人間の中で、たまたま、居合わせてはいけない人間が同じ組織に入ってしまった)だけかもしれないが、覆水盆に返らずだ。
ただ、僕は元々組織に対する帰属意識が薄い人間だから、今の様な関係(外からサポートできる関係)は、一番理想的だと思う。

退職2年が経過して、感謝の気持ちが深まっている今日この頃。
丸紅にいる時は、会社を褒めた事などなかったのに、今、こうして素直に感謝できる気持になった。

8月はちょっとリラックスムードだった事を反省。
未だに僕を気にかけてくれている、たくさんの元同僚の為にも、まだまだ頑張らねばいけないと、気合を入れ直しているところ。

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