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直接投資の規制緩和とは

昨日執筆したNNAの連載原稿は、2012年11月19日に、国家外貨管理局より公布された「直接投資に係る外貨管理政策のさらなる改善及び調整に関する通知 (匯発[2012]59号)」に付いて。
もう少し早く書こうと考えていたのだが、役務増値税に関する原稿が2回書いてあったので、これを先に回した結果、書くのが若干遅れてしまった。

外貨管理局が、「許認可事項の大幅な削減により、外国企業の出資促進する」と記者発表しているので、素晴らしい事が起きるのではないかと期待している方が多いのであるが、実際には、それ程の内容ではない。
つまり、従来できないものが出来る様になる訳ではなく、手間が省けるものがいくつかある、という程度。
ただ、
・中国内の外資企業から、海外の親会社に対して、貸付を認める方向が示された事(剰余金 x 出資比率の範囲内)
・外国企業が中国企業に、外資企業の持分を譲渡した際の対外決済(中国⇒外国)に関する、外貨管理局の許可が免除され事(換金も同様)
は、意義深い。

因みに、後者(持分譲渡)に付いては、持分譲渡に関する商務主管部門の許可を取得したら、その内容を外貨管理局で備案(登記)すれば、銀行審査のみで送金ができる様になる。
中国からのエグジットに際して、内資企業、若しくは中国内の外資企業に持分譲渡して撤退するケースが増えてきているが、この様な場合は、中国から日本への持分譲渡代金決済が必要になる。
これがやりやすくなる、という点は影響が有る改定だ。

その他の事項は、あまり詳しく書くとNNAさんに迷惑がかかるので、大まかな感想にとどめるが、外資企業の「設立前準備口座」の開設や、口座内の外貨の人民元転換が、外貨管理局の許可不要となったのは、実務上、良い影響が考えられる。
何分、最近は、開設を認めない外貨管理局が有ったり、使用の度に外貨管理局に報告・許可取得を求められたりするので、法律はあっても、実務上の選択肢にはなりにくかった。
この著しい不便さが、やっと、まともな状況になる事が期待される。

資本金口の払い込み(検資報告書の作成)や、資本金口座内外貨の人民元換金(匯綜発[2011]88号の規制)に付いては、会計士や銀行側の手間は、若干(ほんの少しだけ)軽減されるが、企業側は殆ど影響なしという内容。
資本金口座の開設が、複数・遠隔地で認められる様になったのはそれなりに意義があるが。

あと、無償増資や、外国企業の再投資に付いての外貨管理局の審査免除、特に、後者に付いては、実務上影響が有るかもしれない。
外国企業の再投資というのは何かと言うと(匯発[2012]59号をさらりと読むと、外資企業の国内再投資と勘違いしてしまいそうな書き方だが)、外国企業が、既存の出資先である外資企業Aから回収する外貨を、対外送金せずに、既存・新規の外資企業Bの増資、資本金払い込み等に充当する行為。
これは、「外商直接投資の外貨管理業務を完全なものにする事に関する通知(匯発[2003]30号)」という関連通知が出ているのだが、外資企業AとBの所管外貨管理局が異なる場合等、双方の見解が一致せず(許可がとれず)、実行できない場合が見受けられた。
この手続が、スムーズになる期待が有る。

ただ、注意が必要なのは、無償増資や再投資に関する商務主管部門の審査は従来通り必要であるという点で、今回改善されるのは、商務部の許可は取れても、外管局の許可が取れないので実施できない、という問題が避けられるという事。
ただ、従来から、回収せずに中国内で資金を回すよりも、一旦、日本に送金してしまい、再度、払い込んだ方が(実際に資金を往来させた方が)、実務上便利という考え方が有った。
若干の銀行手数料はかかるが、教科書通りの資金の流れであれば、特に、認可機関が口をはさむ事もなく、迅速に対処できるので、そちらの方が合理的という事だ。
つまり、今回の規制緩和で、再投資が便利にはなりうるが、最悪、この方法を使わなくても、十分、対処できる問題ではある。

やるべき仕事をこなした後は

今日(土曜日)は12時間寝て、11時に目が覚めた。
日一日と疲れが回復しているが、昨日段階で、まだしんどく、午後の3時間の会議が苦行であった。
3日間、殆ど酒を飲む気にはならない(引き続き、今日もあまり飲みたくないので4日間)のは、極めて珍しい状況。
まあ、昨日は宴席が有ったので、酒は飲んだのであるが、帰りに大ぶりのアイスクリームを買って、衝動的に全部食べてしまった。
僕は、日頃は、甘いものをまったく口にしないが、実は好きだ。
酒と甘いものを両方取ると、太るのが目に見えているので、酒を飲む日は甘いものは食べない事に決めているだけ。
ただ、疲労が限界以上蓄積した時は、衝動的に、ケーキやアイスクリームを大量食いしてしまう。
これは、1~2年に1回あるかないかの事だが、昨夜はまさにそうであった。
今日は夜まで後悔していたが、覆水盆に返らずだ。
疲労とストレスが極限までたまっていると、取りあえず自分を納得させよう。

そんな中、今日は12時過ぎから、E-mail整理をし、依頼されている意見書を仕上げ、NNAの原稿を書いた。
終了したのは夜8時半で、安心してマッサージに行った。
日本では、高くておいそれといけないマッサージを、毎日の様に行けるのは、中国で生活しているメリットの一つだ。
ただ、やるべき事をやったので、精神面はほっとしている。
今日寝れば、明日には回復するだろう。
やるべき事を、しっかりこなせば気分はよい。
明日も昼まで寝て、香港ガイドの校正をやろう。

分かり易い増値税輸出還付解説

増値税関連の法規における輸出還付公式は、不還付税額、免税控除還付額、免税控除額等、紛らわしい単語が並んでおり、読んでも何を言わんとしているのかわからず、消化不良を起こしてしまう方が多い。
そんな訳で、誰でもわかる様に、増値税の輸出還付公式を解説しようと思いつく。

1.増値税の基本
増値税は、日本の消費税と同じで、最終消費者に転嫁する税額。
つまり、サプライヤー(一般納税人の場合)には、貨物代金と一緒に17%の増値税を支払い。
☆ これは、もらってしまった訳ではなく、あくまでも仮払いなので、資産処)。
顧客からは、貨物代金と一緒に、17%の増値税を回収する(その会社が一般納税人の場合)。
この税額も、もらった訳ではなく、預かっただけなので、仮受処理(負債処理)。
その後、双方を相殺して、差額を税務局に納税する事になる。

サプライヤー ⇒販売100⇒ <企業> ⇒販売200⇒ 顧客
      ←代金100 + 税額17←  ←代金200 + 税額34←

税額部分の経理処理は、以下の通りとなる。
仮払増値税 17(100×17%) |仮受増値税 34(200×17%)
⇒ 相殺して上で、17を税務局に納税。

国内販売だけをしていれば、通常、負債勘定である仮受増値税(販売時に回収して預かり処理した増値税)の方が多いので、これ(多い部分)を納税すればよい。

では、資産勘定(仮払い増値税)の方が多い場合、どの様な理由が考えられるか、というと、一般的には、
1)一部、もしくは全額を輸出した。
2)仕入と販売のタイミングがずれた。
3)損失取引をしたので、販売増値税の方が少なかった。
という様なこと。

この内、1)の理由である場合は、税法に、仕入税額の還付(ゼロ税率)が認められているので、輸出還付を行ってしかるべきである。
2)はいずれは調整される筈なので、待っていればよい。

2.製造業の輸出還付
販売業の場合は、仕入れた財貨がそのままの形で輸出されるので、仕入税額に、還付率をそのまま掛けて、還付額を算定すればよい(仕入税額x還付率=還付額)。
⇒ 中国の輸出還付の特徴は、仕入税額が全額還付されず、輸出する商品によって還付率が決まっている。

一方、製造業の場合は、原材料が多数購入され、形を変え(減耗もあり)出ていくので、仕入税額の発票と輸出製品の、一対一の個別紐付けはできない。
よって、一種の割り切りにより、「輸出額をベースに還付しない額を先に決め、それ以外の仕入税額を還付する」方式を採用するのである。
この公式が、不還付額=輸出FOBx(17%-還付率)の意味。
それからのステップであるが、

① 還付控除の対象外となる金額(還付・控除不能額)の計算
還付・控除不能額=(輸出FOB-免税輸入原材料)×(17%-還付率)

☆ この計算式の趣旨は上記の通り。
因みに、免税輸入原材料というのは、進料加工で保税輸入した原材料は、増値税の免税対象となるため、不還付額を減らすために控除する。

② 納税額の計算
納税額=売上増値税(国内販売に際して徴収した仮受増値税)
-仕入増値税(国内仕入・一般貿易輸入で支払った仮払増値税)
+還付・控除不能額(①)
⇒ 納税額が正の数字になった場合は納付ポジションに、負の数になった場合は還付ポジションとなる。

☆ 
納税額が正の数字になる場合
——————————————-
仮払い増値税 50 | 仮受け増値税 100
           | 不還付税額   0

例えば、輸出をせずに、国内販売だけをしていると、(販売月のズレや、損失取引が無ければ)この様に販売時に預かった税額の方が大きくなる筈なので、その差額(この場合50)を納税すればよい。

納税額が負の数字になる場合
——————————————–
仮払い増値税 100 | 仮受け増値税 50
           | 不還付税額  10

一方、この様に、仕入時に仮払いした税額の方が大きい場合(且つ、不還付税額が有る場合)は、輸出が有る筈なので、還付を考慮する必要がある。

ただ、これだけでは、仮払い増値税(仕入税額)の方が大きい理由が、輸出によるものだけなのか、期ズレや損失取引によるものかが分らない。
その為、次(③)のテストで、理論的な輸出還付額を算定する訳である。

③ 還付可能額(最大還付容認額)の計算
還付可能額=(輸出FOBー免税輸入原材料)×還付率


上記の計算の結果として、還付可能額(③)が、納付税額(②)のマイナスの絶対値より大きい場合は、②の金額が全額還付される。
その上で、還付可能額(③)-実際の還付額(②のマイナスの数字の絶対値)を、「免税控除税額」と呼称する。 
一方、還付可能額(③)が、納付税額(②)のマイナスの絶対値より小さい場合は、実際の還付額は還付可能額(③)となり、免税控除税額は0となる。

以上が、製造業の増値税納付・輸出還付公式である、免税・控除・還付方式である。
こうしてみると、さして難しい公式ではないのだが、税法では紛らわしい書き方がしてあるのと、噛み砕いた解説が、今まであまりなかったので、抵抗感を持つ方が多かったという事かと思う。

わびしい弁当だが

2日前に、疲労困憊で、やっとの事で上海にたどり着いたが、なんとか体力が回復してきた。
2日前(12日)は、ぐったりして上海到着。
一歩たりとも外出する体力がなかったので、夕食はどん兵衛(きつねうどん)を食べて、夜0時までE-mail処理をして就寝。
酒は1滴も飲まず。
昨日(13日)は、面談アポが無かったので、1日中email処理。
夕食は、昼に作っておいた、というほどでもないが、ご飯に目玉焼きと焼売を詰め込んだだけの弁当を食べて終わり。
酒は少ししか飲まず。
という感じで、過ごしたら、何とか、体力が回復してきたものだ。
顔のむくみもやっと取れてきた。

週末は、明日香出版から出す予定の、香港投資ガイドの校正をやらないと間に合わない。
NNAさんからも、中国外貨管理マニュアルの在庫が10冊になってしまった、という連絡を、数日前に頂いた。対応を考えねばならない。
そんな訳で、引き続き慌ただしいが、峠は越した。
ひと頑張りだ。

因みに、これが弁当の写真。
わびしい見てくれだが、成田空港に行くまでの間、崎陽軒の焼売弁当が突然食べたくなり、これが叶わず残念に思っていた。
こんな感じで焼売が食べられたのは満足だ。

マネー資本主義2(経験談)

先日書いた、マネー資本主義の続き。

新入社員の頃、会社で英語研修を受けた。
世は、バブルの真っ盛り。
経済学が得意な先生で、「米国ではかつて土地の過大評価による過剰融資で、経済恐慌が生じた。日本でも同じ事が起こると思うがどうか」と、僕に問いかけた。
結局、それから数年後に、その通りの事が起きた訳だが、若く未熟だった僕は、「理論的にはその通りだが、日本人は土地に対する一種の信仰が有る。経済が減退するにしても、米国と同様の事は起こらないのではないか」と(新入社員時代の拙い英語で)回答した。
今から思うと、恥ずかしい限りで、進行中の好景気が一過性のものであり、悲惨な結末が迫っている事を、実感として予測できなかったのである。
こんな感じで、過去に教訓を得ている米国人の教師と、社会に出たばかりの日本人の僕の意見がかみ合わなかった。
米国の経験から日本は学べず、バブルが崩壊した。
そこまではまだ分るが、リーマンショックにおけるサブプライム問題では、米国で、また同じ事が起こった訳で、「マネー資本主義」を読んだとき、頭をよぎったのは、約25年前の、英語の授業の光景だ。
人間、つくづく過去の失敗から学べないものだと思う。

これまた思い出話になるのだが、僕が丸紅出資のコンサルティング会社で社長をしていた時(2007年)、出資をしていた金融物流部門の全体会議が有った。
朝の9時前から夕方6時までの長い会議であったが、その時、「持分利益を金で買え」という趣旨の発言が相次いだので驚いた事が有る。
地道に努力しても利益の拡大には限界があるので、マイナー出資で事業参画して持分利益を取り込み、利益を増加させようという趣旨だが、ノウハウがない事業にマイナーで参入しても、出資先のコントロールは不可能だし、のれん代の償却が不要と言っても、毎年減損テストがあり、永遠に投資差額の調整を先延ばしできる訳ではない。
こんな事を許したら会社のためにならない、と思ったが、その数か月後に、部門でサブプライムの損失が発生した事も有り、翌年には部門長は交代し、方針転換がはかられた。
会議の席上、大きな違和感を感じた部門の責任者の方針が、会社に否定された訳であり、会社の良識が確認でき安心した。

ともあれ、この様に、人間は過去の失敗から学ぶのは難しい。
そして、厳しい利益目標を与えられると、安易な方に流れがちになる。
稼ぎたい、偉くなりたいというのは、人間の自然な欲求で、これを排除する必要はないのだが、自分の行為に対する責任感は、何時も持ち続けなくてはいけないと思う。
当事者意識の無さが、一番怖い。

日中投促と懇親会

上海到着。
ここしばらくの殺人的なスケジュールを、何とか無事にこなして、ほっとした反動で、疲れがどっと出た。
成田エクスプレスに乗るまでは、駅で足がふらつき、電車内、空港、機内では、ぐったりしていた。
機内の映画も見る元気がない、というのは、初めての事だ。
ただ、移動中にずっと寝ていたので、何とか回復。
明日になれば(今日熟睡すれば)、また飛ばせるであろう。

話変わって、昨夜は日中投資促進機構の有志と忘年会。
昨年に引き続いて2回目。

場所は青山一丁目の焼き鳥。
とは言え、刺身、鍋もあり、品ぞろえは豊富だ。
ただ、話に夢中になっていたので、料理の写真を撮るのをすっかり忘れていた。
から揚げの写真だけなので、却ってアップしない様がよいだろう。
因みに、久々に雑炊を作る。
上手くできたと満足。

仕事の話なしで、気楽に飲んで楽しかった。
また来年も企画しよう。

講演会・忘年会

みずほ総研の講演会が無事終了。
先日の日経新聞でも感じた事だが、6時間話しても、さほど喉が痛まない。
2005年のストレスで、リンパが腫れたことの後遺症で、喉が痛んでいたのだが、やっと直ってきた様だ。実に7年。
メンタル面は回復に時間がかかる。

講演会は、まあ、想定通りの時間配分で上手くまとめたつもり。
香港華南に1997年から居住した事もあり、暖房を使用する習慣がなくなっているので、暖房が有る部屋にいると頭がボーっとする。
習慣とは恐ろしい。

これから日中投資促進機構と忘年会。
またもや短い更新ながら、この辺で・・・

かなわん

昨夜、8時半に羽田空港到着。
今日は、朝7時半に家を出て、打ち合わせ2件。
それから、ジャパンタイムズの取材。
なんだかんだで、夜7時半に帰宅して、これから明日の7時間講演会のレジュメの読み込みだ。
かなわん。
ともあれ、明日が正念場。
これを越えれば、無事年が越せる。
100ページのレジュメなので、読み込みに数時間かかりそうだが、頑張ろう!
今日は、簡単ながらこの辺で・・・

マネー資本主義

NHK取材班がまとめた、「マネー資本主義(新潮文庫)」を読んだ。
米国流の、株主偏重・短期利益の過度の追及を求める資本主義を、単なる資本主義と比較して、マネー資本主義と位置付けている点が興味深い。
原丈人氏のインタビューにもあるが、会社は本来公共性を持っているものであるにも拘らず、株主のものだという思い上がりが、実体経済を疲弊させているという意見も、まさにその通りだ。
企業が利益を計上しているにも拘わらず、大量に人員を解雇し、企業が生き残るために必要不可欠な研究開発費を削り、短期利益の極大化を求める。そうする事で、経営者は莫大な報酬を受け取り、株主はキャピタルゲインを得る。
道理としておかしい事が、マネー資本主義では礼賛されるのは、ルールにゆがみが有るからだ。
巨大な富と権力を持つ者の立場で構築された、歪なルールである。
旧ソ連の崩壊は、資本主義の社会主義に対する勝利ではない。
欲望深い人の心が、経済理論と社会システムを崩壊させたもので、それを改善できなかった、旧ソ連式社会主義の自滅だ。
マネー資本主義により、富と権力が集中すれば、同様な事が起こり得る。

サブプライムローン問題から生じたリーマンショックは、金融工学を駆使して組み立てたリスク分散化理論が、暴走して経済を崩壊させたものであるが、それは、人の欲望が運用を必然的にゆがめたからである。
不動産が上がり続けない限り、成立しないモデルであるにも拘らず、取引が拡大し続けた事を、本著は取材を通して説明している。
この処方箋は、取扱説明を十分理解する事と、工学者の立場の意見があるが、これは人間の行動原理(利益への欲求を断ち切れない)からすれば、無理ではないか。
ローン会社は証券会社に債権を売却する事で、リスクから逃れられるので、クレジットカード使用禁止の人間や、債権取り立て中の人間にまで、住宅ローンを組む(適切な査定が行われていない)。
信用状況が劣る状況先への融資は、当然、金利が高くなり、返済不能に陥る事は容易に予想される。
これを、不動産が上がり続ければ、転売でリスク回避できるし、最新金融工学でリスク管理はできている、と信じる事で、自社の利益の拡大に向けて暴走する。
つまるところは、責任感と当事者意識の欠如であり、金融工学理論がリスクを消滅させたという盲信である。
これは、人の心の弱さが招いた必然で、旧ソ連式社会主義の崩壊と同じ根を持つものだ。

リーマンショックから時間が経過し、人々は相も変わらず同じ行動を繰り返している。
本著のテーマは、人間の欲望と向かい合うという意味では、永遠のテーマとも言える。

土曜日に深圳ボーダーを越えるもんじゃない

朝の9時に、講演会の主催者の方が用意してくれた車にのり、10時45分に深圳の羅湖口岸(ボーダー)到着。
ここしばらくのハードスケジュールでくたくたなので、ともあれ早く家に帰りたい(少し休みたい)、という気持で一杯だ。
が、羅湖口岸に付いてびっくり。
すさまじい人だ。
羅湖口岸に行った事がない方にはわからないと思うが、2階の車寄せの場所まで人が、ぎっしり溢れている。
これでは、出国手続きをするまでに、少なく見積もっても3時間はかかる(荷物を持ったまま、3時間立ちっぱなしの行列)。
何事かと思って情報収集するが、週末は、香港に買い物に行く中国本土の人が多いので、毎週こんな状況だとか。
中国人の購買力は、まだまだすさまじい。

作戦を立てるために、意大利庵に行き、13時まで時間を潰す。
因みに、店は11時半開店の様だが、11時10分に付いたら、先に座席で待たせてくれた。
有難い。
色々な所に電話をかけ、情報収集するが、深圳のボーダーは、どこも似たり寄ったりという事なので、一旦、広州に行き、そこから直通車で香港に移動する事も考える。
結果、落馬洲(福田口岸)はまだましだ、という情報を頼りに、タクシーで福田に移動する。
タクシーの運転手は好奇心旺盛で、「羅湖口岸から福田口岸とは珍しいねえ!どうしたの?」と聞くので、取りあえず状況を説明する。
若干時間が経過している事もあり、福田区口岸は常識的な混み方で、30分程度で中国側の出境手続が終了した。
改めて思ったのだが、深圳の入出境管理官の業務処理能力は凄まじい。
笑顔のまま、恐ろしいスピードで、出境手続をこなしている。
あまりに感動したので、初めて担当者の評価ボタンを押してしまった(非常満足)。
因みに、中国で入出国手続をした事が無い方は知らないと思うが、入出国手続をする時、担当者の前に、非常満足、満足、普通、不満などの評価ボタンが有り、手続が終わった段階で、希望者はこれを押して、事務手続を評価する。
10年弱前からこのシステムが導入され、通関時の雰囲気が大きく変わった。

香港側の入境は、本土の通行者(日本人のビジターも同じ)は大行列だが、僕は香港居民なので、15分程度で通過。
香港側は、IDカードを機械に差し込み、指紋照合すれば、入出境が完了するので便利だ。

ともあれ、週末の深圳・香港間の移動はもうやめようと、心に誓う。
明日は日本に移動だ。