香港(休日)

今日はのんびりする事に決め、ひたすら仕事に関係ない本を読んだり、寝転んだりでごろごろして過ごす。
一応、コンサルティング日常記というタイトルにしてあるので、週に一回くらいは、コンサルティングめいた事、というか、中国ビジネスに関係有りそうな事を書こうと思っているが、今週は、全く書いていない。
そこで、今回はビジネス関連ネタ。
ビジネスネタにご興味の無い方は、今日は読み飛ばしてください・・・

昨日の商工会で、雑談めいた話をしたのであるが、まだ経験がなかった、20代半ばの頃に、ちょっとした判断ミスをやった事がある。それは、節税目的の会社の設立に関する判断について。
数年前に、制度が変わった筈で、現状がキャッチアップできていないのであるが、以前、米国にFSC(Foreign Sales Corporation)という制度があった。これは、米国法人が、特定のタックスヘブン国に、輸出取引関連のエージェント機能を果たす子会社を作った場合、一定の利益移転を認め、米国での課税所得を圧縮する事を認める輸出奨励策である(詳細はもう少し複雑ではあるが、制度の趣旨は概ねこんなもの)。
米国の関連会社に、大手CPA事務所が、この様な会社の設立を勧める意見書を出し、その是非・妥当性の判断が僕に求められた。そこで、僕は制度を調べ、一定の節税効果がありそうです、という回答を出したが、結果としてこの会社は日本の留保金課税制度(タックスヘブン-Tax haven対策税制)に引っかかり、殆ど節税効果がなくなってしまった。
タックスヘブン税制は、日本法人・居住者の出資が一定要件を満たせば、子・孫だけでなく、何代下までもトレースする。結局、租税回避目的の子会社は、日本法人の直接の出資関係が無くても、見做し課税の対象になり、節税効果を無くしてしまうということ。つまり、米国税務だけ考えていても駄目で、数カ国の税制とその関係をを総合的に分析しないと正しい結論に結びつかない。
経験が無いと、どうしても視野が狭くなり、総合的な判断が出来ない事がある。その時の判断ミスも、局地的状況だけ見て、総合的な分析を行わなかった為に生じたものであり、未だにこの失敗から得た教訓を忘れぬよう肝に銘じている。

何度か、NNA・フジサンケイ・コンシェルジュ等に紹介したが、マカオのオフショアカンパニーというのも、典型的な節税策。これは、オフショアトレード専門の会社については、マカオでは法人税を課税しないという制度。明言は当然無いが、言ってみれば、香港法人の節税をマカオが推進しているようなものである(香港はこれを歓迎していない)。
例えば、中国⇒欧米、日本などの様な取引をする香港企業が、マカオにオフショアカンパニーを作り、取引の当事者を香港からマカオに移せば、所得が香港からマカオに移転され、取引に関する法人税は不要となる。
その上で、マカオの子会社が、取引から生じた利益を、配当の形で香港の親会社に還元すれば、香港では配当所得などのキャピタルゲインは非課税なので、合法的に課税が圧縮される。
ここ数年、この様なマカオ法人を使った香港法人の節税が盛んになってきているし、これはあまりに露骨な制度とも言えるので、さすがに香港政府も黙ってはいられず、制度の自主規制を申し入れ、最近、これが合意された模様。具体的には、設立可能なオフショアカンパニーの業種が、大幅に制限される事となったようである。

香港の税制を、兄弟地域の様なマカオが逆手にとって、自国(地域)の投資誘致に繋がる即効薬として活用した向きがある訳で、香港地場の企業にとっては、極めて有効な節税策と言える。
但し、日本企業の香港現地法人(留保金課税の対象になっていない場合)が、マカオにオフショアカンパニーを作った場合、香港での法人税は圧縮されるが、マカオでの剰余金は、原則として日本で留保金課税の対象となってしまう。
局地的な状況だけで節税策を判断すると、ミスを犯す事になるというのは、マカオのオフショアカンパニーも同じ事。