2009年9月1日より、ユーザンス・前払・前受け規制に関する再緩和が実施されている(企業貿易信用登記管理に関する問題の通知:匯綜発[2009]108号)。
それはいい事だが、対象となっている貿易信用ユーザンス登記というのは、昨年の7月に公布され、10月1日から施行されたものだ(匯発[2008]30号)。
公布当初から、無理がある無理があると言われていて、僕自身も、昨年8月時点で「年内に規制緩和が行われる筈」という予想をNNAの連載で書き、更に、昨年末には、「一層の規制緩和が、2009年内に実施されるだろう」という予想を書いたが、その通りになった。
というか、ここまで細切れに規制緩和が行われるとは思っていなかったが。
何分、施行後11ヶ月で、既に4回目の規制緩和である。
施行が2008年10月1日で、その後の規制緩和は、2008年 12月(匯発[2008]73号)、2009年 4月(匯綜発[2009]36号)、2009年 6月(匯綜発[2009]78号)、2009年9月(匯綜発[2009]108号)となっている。
今回の規制緩和の結果、金額基準が引き上げられ(ユーザンス、前受・前払全てに対して、US$ 5万以下は登記不要となった)、輸入ユーザンス、前受、前払に付いて、登記残高は、直近12ヶ月の対外決済実績の30%となった。
しかしながら、この矢継ぎ早の規制緩和は、ちょっと不自然な感がある。
こんな形で規制緩和をするなら、「そんな規制出さなきゃいいのに」と言いたいところであるが、外貨管理局側も、「出さなきゃよかった」と思っているのかもしれない。
何れにせよ、2005年に外資企業の人民元建て借入金(外債登記対象外の借入金)に関する総額規制が実施され、年内に実質的な規制撤廃が行われた事があったが、今回もまさに同様のニュアンスがある。
無理がある場合(実務に著しい支障が生じる場合)は、恐れず出した規制の撤回をするのが中国のよいところでもあるのだが、そもそも、今回の様に、当初から無理があると分かっている様な規制は、出して欲しくなかった(もう少し、無理がない形で出して欲しかった)というのが実感。