税務の国際化に付いて思うのは

中国で最近恒久的施設(P/E)認定の話題で持ちきりだ。
10年前までは、「中国でみなしP/E認定なんて」という感じであったが、時代は変わったものである。

僕が日本で経理部員だった頃(1990~1997年)は、主に米国担当だった。
これは、当時の課長が米国駐在帰りで、「水野が中国が好きなのは分かるが、会計・税務では(良し悪しに拘わらず)米国が先進国な訳だから、まずは担当してみろ」と言って担当させてくれたものだ。

おかげで、P/E認定、移転価格文書化、過小資本税制、組織再編等が主業務の一つとなり、それらの動きが、まさに今中国の税務界で繰り広げられている。
それを考えると、当時の上司に感謝しなくてはならない。

中国では、会計・税務の世界でも、国際的な制度作りが進められている。
減損会計・税効果会計を義務付ける会計準則の導入や、上記の様な税務の動きがその一例だ。

国際課税の世界では、P/E課税・移転価格等、ある意味強引な徴税行為が展開されるので、国際化=良い事では必ずしもないと僕は思っている。

綺麗な理論で武装した凶器を平然と振り回す様な行為が正当化され得る事は、米国の歴史を見ればよく分かる。
ただ、良きに付け悪しきに付け、時代がこう流れるのであれば、その理論に合わせて、企業側も戦わなければならない。

勿論、中国は、中国なりの実務の特徴があり、それを踏まえて対応する必要がある。
ただ、これはどの国でも同じ事。
日本でも、日本なりの特殊性を織り込んだ運営が行われる訳だから。

中国の会計税務の国際化も、そんな形で急速に展開されている。
その慌ただしさの中に、昔の経験が繰り返される懐かしさと、次の攻め手に対する怖さ、そして、前面で戦える充実感を同時に感じる。

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