必死さ

前の会社にいた時に、「自分はこんなに働いているのに評価されない」と嘆いている人はたくさんいたし、逆に、「日本人は、量働く事だけを評価する。これだけ効率よく業務しているのに、何故評価しないんだ」と不満を漏らす人間(香港人)もいた。
会社員というのが、会社人生、ひいては自分の人生が、組織からの評価に依存せざるを得ない以上、上司との相性によって、運不運が分れる事は多分にあり、こう嘆きたくなるのは、ある意味自然な事だ。
では、独立すれば、人の目から逃れられるか、というと、決してそういう訳ではない。

たとえば、僕の場合も、起業した今でも、顧客の目や部下の目は気になるもので、のんびりできるようにはならない。
会社員時代とストレスがどうちがう、というのは一概には言えないが(どちらも大変)、会社員時代の評価は、まだ雇用関係の中で行われるものであり、上司と仲が良いかどうかはさておいて、カテゴリー的には仲間内、という事になるので、あまり極端な事にはなりにくい。
一方、ビジネス関係(会社対会社)では、信頼されなければ、仕事が来なくなって終わりなわけだから、ある意味、会社員時代より厳しいものだ。

先日、香港で、コンサルタント業の先輩(やはり会社員から起業独立した経緯有り)が、「独立して仕事をしていると、信用を守るために、深夜までかかってもクライアントに返信するでしょう」と言っていたが、まさにそんな感じである。

残業しなくても、休日に働かなくても、誰にも怒られないし、逆にしても褒めてもらえない。
ただ、周りからの信頼を守るためにどうするかを、何時も考える事になるし、それが、自分を動かす事になる。
独立すれば、必死さを無言で伝える事が、信頼を得る重要な要素であり、それはパフォーマンスではない。
ただ、これは必ずしも独立した場合だけでなく、個人対個人でも同じ事だし、ある意味組織の中でも同じことが言えるであろう。

必死さ、覚悟を人に感じさせられるかが、自分が成長できるかどうかを分ける、大きなポイントのひとつになるのは確かだと思う。

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