生兵法は怪我のもと

かなり前になるけれど、新聞で格闘系のエクササイズ(格闘技の動きを取り入れたエクササイズ)が流行っているという記事が有った。
これ自体は良い事だ。
格闘技の動き(パンチ、キック)等を習うのは楽しいし、効果的にカロリー消費もできる。
更に、一人の時でもシャドーボクシングの形で、手軽に運動できる。
ただ、習っている女性のコメントとして、「強くなったと実感している」、「試してみたいので、襲われるのがちょっと楽しみ」などというのが有ったが、これは大きな誤解だ。

僕が大学で合気道をしていた時、1年間は乱取りをさせてもらえず、2年生で初めて上級生と練習試合をした。
その時、思い知ったのは、如何に自分の技がかからないか。上級者の技を逃げられないかだ。
ボクシングも同じ。
格闘技をやるなら、殴られる痛み、関節を極められる痛み、そして恐怖。
それをしっかり体験しないと、自分が強くなった錯覚に陥ってしまう。

自分のイメージだけでやっている時は、簡単に相手を投げられる、殴れる気持になりがちだが、実際やってみると大違い。
格闘技をやるたびに、如何に自分が弱いかを認識する。
よって、街中で戦ってみたいなどとは思わない。
空手でも合気道でも、初段~二段程度では、街中では負ける可能性の方が高いし、相手が二人以上であれば、ほぼ負けると思っておいた方がよい。
よほど強くなるのでなければ違うが、そうでなければ、一番の護身術は、危険に近づかない事。早く逃げる事だ。
この意味で、中途半端に格闘技を習って、変な自信をつけるのであれば、却って習わない方が、良い護身術になると言えるであろう。

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