本を書くと儲かるか

印税という言葉を聞くと、人はつい、東野圭吾や宮部みゆきの様な、ベストセラー作家のイメージを思い浮かべるので、本を出すと、さぞかし儲かるのではないかと思われがちだ。
ただ、実直なビジネス書においては、そんな事はない。
中国関係で知名度のある弁護士の方と雑談をしていた時、同氏が「今まで書いた本で、一番印税をもらったのは50万円」、という話をしていたが、これはあながち嘘でもなかろう。

本を書いた場合の印税は、10~15%程度。
15%の印税をもらえるのは、基本的には増刷の場合だ。
印税は、本の出版時点でもらえるので、出版社が初版部数を決めて出版すれば、極論すれば、1冊も売れなくてももらえる。
二度と執筆依頼が来なくなるだけだ。

ビジネス書というのは、3,000冊売れれば、「よく売れましたね」と言われる世界。
2000年代前半の中国進出ブームの時は、中国投資ガイドは初版3,000冊ほど出た。
価格を3,000~4,000円とすると、印税は100万円程度で、共著の場合は、これを執筆者で分けていくので、二人なら50万円という事になる。
執筆には時間と労力がかかるので、100万円という金額が、割に合うかと問われると微妙だが、専門家にとっての本は、金銭を超えた意味がある。
やはり、書店に本が並んでいる事が信用になるし、それを買って読んでいただいた方が、クライアントになって頂ける。
その意味で、講演会と出版(更には、連載)というのは、この仕事を続けていく限りにおいてはやめる事ができない。

僕は、今までに、改定版も1冊と数えれば、単独執筆の書籍は20冊、共著は4冊。
翻訳ものは2冊(韓国出版用と台湾・香港出版用)を出した。
一番売れたのは1.6万部程度出た、「中国ビジネス投資Q&A」だが、これは改訂版を含めた、10年がかりの数字。
最近では、外貨管理、保税区域、加工貿易、PE課税など、テーマをかなり限定しているので、さすがにそれ程の冊数は出ないが、他に、これだけニッチなテーマで本を書く人はいないので、それなりに手堅く(景気に左右されず)出ている。
売れないビジネス書の中での健闘、という感じだが。
仕事の必要性と、何より僕が文章を書くのが好きなので、これからも執筆は続けていくのだが(半年以内に、あと3冊出版予定)、印税は、取材費の足し、という感じの位置付けである。
夢のない話で恐縮だが・・・