ペニンシュラホテル非常口の思い出

総務事項を処理するために、あくせくチムサッツイの街を歩いていると、ペニンシュラホテルの裏側を通った。ここには、忘れられない思い出がある。

2008年8月27日(丸紅退職3日前)に、丸紅の先輩が、送別会を開いてくれた。ただ、折悪しく、シグナル9の大台風が到来しており、店はどこもやっていない。自分は、10軒ほど電話をかけて、無理だと断念したが、その先輩は、約60軒かけて開いている店を探してくれた。シェラトンホテルの雲海という店だ。
食事の後、二次会で(一次会で止められないのが、古い商社マンのさがか)、ペニンシュラホテルのロビーラウンジ(アフタヌーンティーを楽しむ有名な場所)に行った。台風の影響で、正門は開いておらず、裏の非常口から中に入れてもらった。
ロビーラウンジは静まり返り、他の客は誰もいない。それでも、優雅なマナーで接客をしてくれ、クラシックの演奏も有った記憶がある(演奏に付いては、記憶が若干曖昧)。
ペニンシュラのロビーラウンジを二人で貸し切り状態、という、おそらく、今後二度とないであろう贅沢な空間に身を置いて、ゴ~というすさまじい風の音が、館内でも聞こえる中、退職(独立起業)の恐怖と、執念で送別会を開いてくれた先輩に対する感謝の気持ちを味わっていた。その時の、ウィスキーとチーズの味は、忘れない。
もう退職して、12年が経過してしまったが、丸紅というのは、そんな人たちが沢山いる会社だった。好きになれる人間、自分を好きになってくれる人間が、どれだけいるか。そんな人たちにたくさん出会える会社が一番だ。それを思うと、自分が入った会社が一番で、すごく幸運な会社選びだった。(辞めはしたが)自分としては、今でも思っている。

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