香港(ちょっとびっくり・人民元切り上げ)

残業していたら、人民元切り上げの発表があった。
いままでも、(大げさに言えば)毎日のように「人民元は切りあがりますか?」という質問を頂き、その都度「政府筋の発言からすると、切り上げはほぼ確実でしょうが、時期とその方法(上げ幅を含め)に付いては分かりません」という発言をしていた。
仕事柄、確信を持てないことは言いたくないので、この様な発言をしていた訳であるが、実は、あるとすれば来年の新年早々(1月1日)か旧正月明けに、5%程度の切り上げがあるのではないかと考えていた。
何故、正月か旧正月かというと、昔、人民元の切り下げを中国で経験したときの記憶から。やはり、今までは、区切りが良い時期に、通貨の調整があった。
何故 + 5%かというと、1994年の通貨改革から現時点まで、切り上げ・切り下げの形を取らずに、管理相場を + 5%程度に微調整してきている。よって、この程度であれば、調整しやすい幅なのではないかと考えたもの。

という事で、この段階での切り上げは、ちょっとびっくり。
但し、現時点では+ 2%程の小幅な調整であるため、切り上げ発表をせず、管理相場制の変動幅を微調整してもよかった様な調整である。
結局、「通貨バスケット制の採用」と合わせ、通貨制度の変更と、「切り上げを実施した」という実績を作りたかった、という事であろう。
つまりは、本格的な切り上げではないので、まだ一波乱ありそう。

しかし、人民元は、現在不思議な状況に陥っている。
というのは、「投機的な人民元の買い圧力が強い」が、実需というか、中国で実際にビジネスをしている企業は、いまだに「人民元の外貨換金+対外送金」の意欲が強い。
勿論、中国の外貨管理制度では、外貨の取得=対外送金可能とはいかないので、これほど簡単に割り切ることはできないが、ともあれ、人民元を必要とする動きと、外貨を必要とする動きの両極に分かれているという事。では、為替を完全自由化したらどうなるのであろうか。
勿論、現段階で自由化すれば、相当の混乱が予想されるため、先ずないとは思うが、実は、中国の発言にある「意表をつく方法」=為替の自由化という可能性もあるのではないかな、とここ数ヶ月はちょっと真剣に考えていた。
さてこれからどうなるか!?

なんて事を書いていたら、帰宅した筈の同僚(財務部長)谷垣君が、パンを抱えて会社に戻ってきた。
どうしたんだ?と聞くと、「人民元が切りあがっちゃったんで、戻ってきました」と悲しげである。
という事で、彼も、近くの席で、黙々と仕事中。
時折、「胡錦涛ってどう書くんでしたっけ?」とか聞いてくる。