人民元決済の試験的な解禁

コンシェルジュの締め切りが迫っており、何を書こうかと頭を抱えてネタ探し。
連載が経済記事の解説なので、新聞や情報誌でネタを見つけて書かなくてはいけない。
当然、書きやすい記事があるかどうかに、執筆の難易度が大きく左右されるので結構大変。
E-mailで送信してもらった、NNAと時事速報の記事を、1ヶ月分一つ一つ探す事1時間。
人民元の試験的対外決済解禁、という時事速報の記事を取り上げる事にする。

記事自体は、4月9日のものなのでちょっと古いが、上海、広州、深圳、珠海、東がんの5都市で、人民元の試験的な対外決済を認める方針が、国務院常務会議で決定されたというもの。
外貨管理がずい分柔軟になってきた中国であるが、人民元は依然として対外決済通貨ではなく、一時期、人民元高が継続した時は、輸出企業が為替リスクのヘッジが困難で、悲鳴をあげていた。
2003年からは、貿易取引の建値を人民元建てにする事は認められたが(送金時のレートで外貨換算した上で決済する事が義務付けられる)、現段階では、それが限界。
香港の中国返還で、香港・本土では人民元決済ができると誤解している方も一部にいるが、一国二制度で、通貨は切り離されている為、これは間違い。

ただ、2004年のCEPA導入に際して、若干の試験的な措置が香港・本土間では取られており、同一人口座間の少額人民元送金、香港の銀行での人民元換金などが認められている。
また、香港は外貨管理自由なので、香港に入った人民元の流通は認められる。
つまり、香港は、人民元受け入れの環境は、他地域と比べると進んでいるという事だ(中国側で制限している状況なので、これは、あくまでも相対比較で、という意味だが)。

上記5都市での試験的な開放であれば、人民元のハードカレンシー化は意味しないので、中国外で人民元の流通・換金が実現する事にはならない。
とすれば、相対的な環境が整った香港が、貿易決済(人民元)窓口として、しばし位置付けられる方向にあるのではないか。

20代の頃に台湾に1年住んだ身としては、中国本土と台湾の商流(物流・資金の流れ)は、個人的には感慨深いが、これにより、香港の地位・機能の相対的な低下が取りざたされているのも確かで、これは少々さびしい事だ。
それを踏まえると、今回の動きは、先ず、香港の金融センターとしての地位向上に繋がる動きであるし、5都市中4都市が広東省というのも象徴的だ。
試験的に解禁される決済の内容がどうなるか、まだ不明ではあるが、それでも、香港としては、朗報と言えるのではなかろうか。

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