銀行からであった。
先輩への電話であったが、いないと言うと、メッセージ宜しくと言われ、「書類にディスクレがありました。レファレンスをスペルアウト致しますと、フランス、アメリカ、ベトナム~」とか言われ、「ひやぁ、そんなに早くメモできないよぉ」と思って、必死で書き取った。
が、知ってみると何でもない、FAV~の事で、フランスF、アメリカAとか言えばいいものを、如何にも新入社員っぽい人間が電話に出たので、意地悪してこんな言い方したのであろう。
まあ、これは、積極的な意地悪であるが、他意はなくても、社会人になると、皆、ある意味不親切になる部分がある。
共通用語になっている様な言い方は、敢えて、誤解が生じる様な説明になる事も少なくない。
例えば、「外貨で買いたいんですが。人民元で買いたいんですが」という発言をよく聞く。
ただ、その真意は、「外貨で買いたい=手冊輸入したい=加工貿易形態で仕入たい」という場合が良くある。
外貨で買いたい、人民元だけ買いたい、というのを正直に受けて、「一般輸入でも外貨で決済できるからそれでいいんだ!」とか考えたりすると、趣旨を取り違えるし、「進料転進料の転廠だったら、人民元決済できるから、これでもいいんだ!」と考えたりすると、単に、内貨(非保税品)を買いたいと言う趣旨だったりする。
こんな感じで、社会では、かなり話(説明)をはしょられる事が多いので、この点、注意が必要だ。
よって、一つの事を聞いたら、そこから趣旨を類推し(場合によっては、数種類の可能性を推測し)、それを嫌味にならないような聞き方で、真意を探っていくという過程が必要になる。
この点、学生の頃はなかったが、社会人には欠かせないスキルであろう。
僕が29歳の時、インストラクターをしている新人に、したり気な顔で、「学生の頃は、与えられる情報は、全て正しくて、その中から答えを出せばいいけれど、社会人になったら違うんだ。正しいデータと間違っているデータが混在する中から、情報を選別して、解決を誘導していく必要があるんだよ」とか話した事がある。
その当時の僕に、それがどの程度出来ていたかはわからないが、言った事は正しい。
間違ったデータ、不完全な伝達、そんな要素が含まれた中で解決を導いていく作業は、探偵のそれと似通ってもいるが、ひとたび社会人になれば、避けて通れないスキルである。
それだから面白い、ともいえるのだけど・・・