立花聡氏への回答と挨拶

立花さんより、僕のブログの記事に関する異論(というか、違う目線のコメント)を頂いた。
言いたいことは、昨日のブログでいい尽くしたので、補足する事はあまりなく、同氏のブログのコメント欄に回答しておこうと思ったが、丁度ブログネタがなく困っていたので、記事にする事にした。
同氏とは親しい間柄でもあるので、あまりブログで意見を戦わせるのは、水臭い(アクセスは増えるかもしれないが)。
ここから先は、emailか酒でも飲みながら、お互いに議論する事にするとして、まずは回答まで。

<質問部分>
夜逃げの話について、「専門家の誇張、商売獲得目当て」という論点だが、夜逃げを企業がした場合、いわゆる専門家がどこで稼げるか、ぜひ、知りたいものだ。
<回答>
夜逃げを推奨するのがビジネスに役立つ、という意味ではない。
撤退作業の困難さを誇張することで、撤退作業の代行を誘導する様なアプローチが多いという趣旨。
それはそれで営業の一環であるので、致し方ない面があるのだが、それが「夜逃げをせざるを得ない」という曲解を産み、実行に移す人が出てくると問題になる。
株主有限責任制の原則が有るとはいえ、過去の経営の違法性を問われ、取締役個人が訴訟の対象となる事も、状況によってはあり得る。

<質問>
夜逃げをしても、香港あたりで再度別名の法人を立ち上げて中国に進出する事例はないものか。正直者がバカを見るというのは今の中国ではないだろうか。
企業の品格は法と同じレベルで語るものではない。私が日常的に担当している大手企業では破産などの事例は皆無といっていいだろうが、中小や零細企業の場合、経営体力が不足して、それこそ破産も一つの選択肢ではないだろうか。
<回答>
これは昨日の記載通り、出資者の状況にもよる。
出資者自身が存続もままならない状況であれば、やむを得ない局面もあろうが、出資者が隆々としているにも拘らず子会社を破産させ、債務不履行を起こしたとなれば、人はその会社、人物を信用しなかろう。
例えば、計画倒産を一度でもした人物と、取引したいと人は思うであろうか。
計画倒産は極論で、ミスリードを生む可能性がある。法律に基づいた破産手続であれば、妥当性は見いだせるであろう。
株主有限責任制に基づく(債権者側の)債権放棄というのは、平たく言えば、「信じたあなたの脇が甘かった」という事だから。
但し、信じた人間を裏切る事には変わらない。そして、裏切られた人間の痛みは、恨みになって胸に残る。
ビジネスとは、信用の積み重ねであり、人の判断・行動は、常に社会から問いかけられているものだと僕は思う。


<質問>
ついでに氏は財務面の話をしているだけであるが、清算撤退に関して、労働者のリストラにどれだけのコストがかかるかご存じだろうか。それを現実問題として聞きたいくらいだ。
<回答>
当然、撤退・組織再編のご依頼があれば、それに付随して、経済補償金の算定をする事になるし、数百人単位の解雇代行を受けた事も何度も有る。
監禁事例は5件経験し、公安に掛けあって救出した事もある(双方に憎悪渦巻く中に身を投じた事があるという趣旨)。それを踏まえての意見である。
撤退に際して、コストが発生するのは確かであるが、これは、(追徴課税や罰則等の不足の自体を除けば)算定可能なものであり、事前に予測できるものである。
その意味では、会社の経営コストとして、運営の際に織り込んで置くべきものであり、高いから払わない、という理屈にはならないと思う。
ただ、今回の議論を離れて言えば、税関調査、税務調査などで、理論上疑義がある追徴額を請求される事例に、日常的に遭遇しており、腹立たしく思う事もあるのだが、それは、別次元の話として議論したいと思う。

<最後に(引用)>
「撤退はつらい作業で、企業の人格品位を求めて」、紳士的に最後までやるのは一つの選択ではあろう。これにまったく異存はない。苦しくても、襟元を正してやっても、コストがかかることは何ら変わりもない。まさにこれは価値観の問題であろう。本文を書いた友人の水野氏の価値観を否定するつもりはまったくない。価値観の多様性を示したいだけである。

<挨拶>
立花さんも、双方の価値観をわかっていつつ、論点の洗い出しの意味で、この記事を書いたのであろう。
とすれば、僕にとっても意見を補足する機会をもらった事になるが、ブログでの意見披露はこの辺にして、次回、酒でも飲みながら話しましょう。
寿司をご馳走になって、1年以上お返しをしていない故、上海、香港にお越しの際は、是非、ご一報下を。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です