前川寿司で食事をした。この店は、2006年に雑誌に「僕が上海で一番好きな寿司屋」という紹介文を書いたことが有る。
誤算だったのはクリスマスでお任せオンリーだったこと。一人1,300元(2.2万円)というお任せ価格は、上海の相場と出てくる料理を考えれば良心的と言えるが、何時も単品で注文し、酒を入れて一人1,000元ちょっとで済ませているので、ちょっと懐にきついなという感は有る。あと、お任せは量が多くて、全部は食べきれない上に、数日間は食事管理が必要になる。
とはいえ、食べるからには純粋に楽しむ。まず出てきた、ローストビーフに海胆とキャビアを乗せた鮨が旨い。
鰹、金目、赤貝。鮮度が良い。
これは鰻のパイ皮包み。なかなか面白い趣向だ。普通にウナギの寿司、若しくは、白焼きを食べた方が旨いかもしれないが、パイ皮の歯ごたえが良く、これはこれで良かった。
ふぐのから揚げに、ふぐの肝を掛けたもの。
蟹のお吸い物になるのかな?
次は、のどぐろ白子のトリュフ乗せであったが、僕は白子が食べられないので焼き魚に変えてもらった。
中トロ、カンパチ、白エビ、イカ。
赤身、白エビ、北寄貝。
ここまでくると苦しいが、海胆は食べねば。北海道産の海胆で美味しかった。そして、最後のアナゴはさすがに量的にギブアップしかかったが、ご飯を残して食べきる。
という訳で、懐にはそれなりに響いたが、料理は全面的に満足で、楽しく会食を終える。店は満席だが、他に日本人はおらず、全員、裕福そうな中国人。香港の高級店(寿司、天ぷら、割烹)でも状況はほぼ同じ。
こうした光景を見ると、日本が世界的な物価水準から取り残されているのを実感し、今後、好きなものが食べられなくなるのではないかという危機感を感じる。経済合理性から言うと、物は高い方に集まる。かつての中国がそうであったように、国内生産されたものも、外国がより高く買ってくれるなら、そこに出ていくもので、今後、日本がそうならない保証はない。それを考えれば、安定的な物価の上昇は必須であるし、それを実現するには、より良い将来が感じられる雇用・労働環境を作る事であろう。