食事をしながら思う事

ロックダウンは長引きそうな気配だが、ともあれ、今日も無事に食事ができることに感謝。
思うに、自分が過去に経験した苦労というのは、商社マン的には平均値。エンジニアリング会社の尺度でいえば、平均よりずいぶん下だと思う。アフリカ、中近東の駐在経験もない訳だし。
今日、仕事をしながら、妙に、昔、ドーハ(カタール)出張時に、数日間一緒したエンジニアの方々の姿を思い出していた。
日本人が昔から海外に出て、誇りを持って、日本の物を売り、資源を確保し、経済力を高めて今がある。昭和以前から、そうした普通の会社員達が、リスクを負って闘ってきた。そんな人たちの意地、誇り、矜持が日本を支えている訳だ。
仕事が終わって、男だけの食事(丸紅主管者社宅での食事)で、無邪気に笑い、飲んでいる人々の姿が、妙に思い出される。それからすると、自分の苦労は苦労ではないな。有難い。ちょっと初心に戻れた気がする。

政府支給品のキャベツが有るので、焼きそばに入れてみた。野菜に飢えていたのか、キャベツが旨いと初めて思った。

引き続き、支給品のジャガイモと玉ねぎ。

ロックダウン7日目

ロックダウン7日目。今日もPCR検査が有った。自宅にキットが配布され、自己検査の上、アプリ報告するもの。既に5回目。3月17日に上海に戻ってから10回目の検査だ。
食糧備蓄は有るが、何時まで継続するかが見えないので、最悪を想定した消費が必要になる。その中で、居住マンションのウィチャットグループ(PCR検査や隔離の管理をするために、同じビル内の人が一つのチャットグループを作るもの)の人が、「外国人(西洋人・日本人)で物資が不足して困っている人はいないですか?」と呼びかけ、自分の備蓄を譲ってくれたりしている。親切な人がたくさんいるなと感心。
ただ、自分は備蓄で何とかなるので、暫く自助努力。

そうなると、色々考えなくてはならない。今までは、麺を茹でるのも、日本から輸入したミネラルウォーターを使用していたが、水道水に切り替えた。昔と違って、臭みがないので、特に問題が無く驚く。中国人の友人たちも、「ミネラルウォーターがもうすぐ無くなる」と悲しそうにアップしているが、煮沸すれば大丈夫だ。考えれば、僕が学生の時は、ミネラルウォーターを飲む日本人は殆どおらず、みんな水道水を飲んでいたな。
そして、麺を茹でるのに水道水を使うことになると、ミネラルウォーターが必要なスープ麺はぜいたく品だ。いきおいパスタが多くなる。ソーセージも小さいのを一本程度しか使えないのでちと悲しい。
1980年代にリビアのベンガジの工事事務所に駐在していた丸紅の先輩が、「朝から貴重な卵を食ったとかで、大の男が大喧嘩するんだよ」と、駐在の苦労話をしていたが、何となく気持ちが分かってきた。自分も、ロックダウン開始時に20個卵の備蓄が有ったので、1日1個と決めている。それでも、特につらいと思わないのは如何な事か。ともあれ、初心に戻る意味では、良い経験である。

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ロックダウン5・6日目

暫く前まで、隔離何日目、というタイトルでブログ更新していたが、いつの間にかロックダウン何日目に切り替わっている(笑)。してやられた感があるが、粛々と生活している。食材備蓄は有るので、心穏やかに過ごすだけ。自室で黙々と、自炊、仕事、筋トレをする日々だ。あと、PCR検査は今日を含めて4回実施。しかし、今年は既に、何回検査したことだろう。
思えば、2月23日から始まった青島3週間隔離の終了1週間前程度から、鰻屋でのんびり酒を飲みたいと思っていた。これが、依然として叶っていない。早くゆったりと日本酒を飲みたい。骨せんべい、白焼きと一緒に。

ただ、ロックダウン自体はさほどつらくはない。人間、一度経験した辛さまでは耐えられるようで、1989年の福州トレーニー生活が圧倒的につらかったのが大きい。あの時は、物資にも人間関係にも日本語会話にも、全てに飢えていた。国際電話を掛けるにしても、1時間3.5万円だったので、掛けるのが躊躇われたし。
そして、上海・香港(2020年、双方2週間)、青島(3週間)の隔離は別の意味で苦しかった。という訳で、相対的に楽なので、のんびりできているのだろうか。何が幸いになるか分からない。

ともあれ、物資は有効に使わないといけない。水もある程度節約する必要があるので、ラーメンも、水と粉末スープは半分にしているが、結構うまくできた。ラードを作ったときの背油も有効活用できたし。
工夫を重ねる日々だな。

ロックダウン4日目に残り物で料理を作る

ロックダウン4日目。午前中にPCR検査に行く。マンションの中庭で検査が有ったので、久々に外に出られると喜んで出かける。
何度も隔離を経験して分かるのは、部屋から廊下に出られるかどうか。その一歩には、天と地ほどの違いがある。そして、マンションの敷地内でも、建物の外に出られるかどうかは大きな違いだ。天気も良く、太陽を浴びながら、必要以上にのんびり歩いて、検査を済ませる。

検査を済ませると昼食。1.5年前に購入した香港風ラーメンに海老餃子を入れて食べる。一食分ずっと食べないまま残っており、何度も捨てようと思ったのだが、捨てきれずに取ってあったのが役立った。
そして、夜は葉ニンニクを使って中華風焼きそばを作る。これも間違って購入して、捨てるつもりだった葉ニンニクと、スープを使ってしまっており、捨てるつもりだった麺を有効活用。平常時なら捨てているものが、こんな感じで有効活用できた。限られた食材は大切にしなくてはならない。


そして、ストレス解消になるかと思い、暇つぶしをかねてラードを作る。数日前の政府支給品の豚肉の脂身が多い。これでラードを作れないかと考え、インターネットを検索。見よう見まねで作ってみた。説明に書いてあった通り、油がバチバチ跳ねるので難儀したが、まずまずの出来だ。そして、残った油かすは、即席麺や炒飯に入れると良いようだ。
ロックダウンのおかげで、いろんな経験が出来ている。面白いものだ。

ロックダウンの状況(無料動画2)

中国ビジネス動画の特別編。ロックダウンの第2回の無料動画です。渦中の水野がロックダウンに付いて語ります。
こちらからご視聴ください。

ブログでも解説していますが、なんだかんだで、個人的には楽しく(?もないかな)ロックダウン生活を送っています。また、同時期に隔離されている友人達とのウィチャットなどでの交流を踏まえ、ロックダウンの状況・向かうところはどうなっているか。渦中の人々は、どう受け止めているかを解説しています。

ロックダウン2・3日目(支給品をもらい料理する)

ロックダウンに際して思ったことは、中国人は生鮮品に対する思い入れが強い。まあ、僕が日本人の感性を代表している訳ではないので、適切な比較にならないかもしれないが、僕は、レトルト、米、麺の確保に動いた。あと、一番気になったのはミネラルウォーターだ。一方、中国人の友人・知人たちは、生鮮食品の確保を優先していた。

そんな違いを感じていると、ロックダウン2日目に、政府からの支給品が届いた。全ての家庭に配布されるようだが、その量にびっくり。なかなか鮮度の良い肉であるが、男の一人暮らしで、外食主体の生活だった。十分な調理器具、調味料が無い中で、どうしようかと暫し途方に暮れる。

ともあれ、まず思いついたのはカレーだ。どう考えてもカレー用の材料だ。30分ほどかけ、ビールを飲みながら調理する。
ロックダウン中は、インスタント食品に偏っても致し方ないかと思っていたので、まさか料理する事になるとは思わなかった。ただ、面白い事に、簡単な調理でもストレス解消になる。何となく、楽しくなってきた。、

そして3日目。午前にPCR検査をやる筈だったが取り消され、午後に検査キットを配られ自己検査する事となった。検査結果は数分で出る。結果が出たら、アプリで写真と一緒に報告する形式。

午後4時には検査と報告が終わったので一安心。午前中に、「ジャガイモは、ソーセージと炒めてみよう」。更には、「ネギと間違えて買ってしまった葉ニンニクを、捨てようと思いながら冷蔵庫に入れていたが、これは豚肉と炒めればよいのではないか」と思い、早速試してみる。
何やら不思議な成り行きで、2日連続の料理と相成ったが、そんな感じでロックダウン期間は経過していく。

ロックダウン初日は平和に過ぎる

ロックダウン前夜、同じビルの住人のウィチャットグループに入ると、ここで翌日のPCR検査スケジュールが通知される。日本人の住人がいることが分かっているので、日本語の案内まで流してくれる。親切だ。
アプリを使って翌日の予約をし、QRコードを取得する。これはスクリーンショットを撮っておく必要あり、検査時は、それを見せると、一瞬で登録が完了する。

朝、窓からのぞくと、意外に人が少ない。号棟、フロア毎に時間割当があるのだが、アプリを使った事前手続がしっかりしているので、個々人の検査時間が極端に短くスムーズだ。ウィチャットグループに、「いまは空いているので、時間通りでなくても大丈夫」との連絡があったので、早速出かけ、数分で検査を終わらせる。大変だったのは、エレベーターを使わず、階段を乗り降りしたことくらいか。これは、指定が有ったわけではなく、自分自身がエレベーターに恐怖感を持っているため(ロックダウン中に閉じ込められたら、誰も助けてくれないという恐怖感)。何分、日本(東京)で1回自分自身が閉じ込められ、香港で1回、閉じ込められた友人を救出したことがある。友人の救出は、自分が広東語が出来なかったため、1時間以上の時間を要した。それ以来、エレベーターは何時も怖い。

部屋に戻ると、蕎麦を茹でで食べる。食材は貴重なので、ネギは少なめ。
しかし、今回は正直感心して脱帽した。2000万人前後の上海市民を、1日で全員検査し、翌朝には検査結果を集計している。少なくとも、自分の身の回り(友人情報を含め)では、全く混乱が起きず、粛々と検査、ロックダウン管理が進んでいく。「これは凄いな」というのが、正直な感想だ。

ともあれ、ロックダウン期間は4日だが、少なくとも町内の感染者が0になるまで制限は続くので、あまり焦るのは良くない。幸い、食料も水もある。メンタルを前向きにもって乗り切ろう。
少なくとも、午後の窓の外の景色は、1985年の上海初訪問以来、経験したことが無い空気の良さと静かさ。小鳥のさえずりだけが聞こえる環境であった。その中で飲むビールは美味かった。