起業家の方に質問されて

この10日間、香港、上海、日本で、新しく社会人になった方、起業したての方と、何人も会って話をした。
そこで、「起業して事業を立ち上げるのに、一番大切な事は何ですか?」という質問を頂いた。
その方が聞きたいのは技術的な面だったので、前にも書いた事だけれど
・情報は発信するところに集まる
・ニーズを探してそれを埋めるのがビジネス開拓
・自分の強みを探す
・分析して状況が特定できれば、解決策は探せる筈
という点を説明した。
現状分析、というのは、例えば、僕が商社の財経マンとしてコンサルティングを始める際に、企業内の管理部門の人間が、弁護士・会計士より有利な点を考えた様な事。
自分の強みと弱みが客観的に把握できれば、強みを活かせる方法が考えられる。
更には、前に上司から教えられた、大手企業を辞めた人間が成功しない理由。
一般的には、看板、信用と言われるが、「信用」の持つ意味を分析し、対応策を考えれば、これを克服する方法は自ずと探せる筈である。
つまり、一般的に言われている事を、「そうか。難しいのか」と鵜呑みにして立ち止まってしまうのではなく、困難の所在を分析する事が必要だ。

ただ、精神的な話だけれど、起業早々は、爆発的なパワーと、強い意思(覚悟、と言った方が良いかもしれない)が必要で、この要素はすごく重要である。
卑近な例で恐縮ながら、会社を辞めた途端、会社契約で借りていた家は出なければならず、携帯電話も解約され、会社から受けていた住宅ローンは一括返済が必要。
当然、しばらく収入がゼロになる上に、銀行融資は受けられない。
僕の場合は、自分の生活だけでなく、前の会社の部下が望めば、同一雇用条件で全員を受け入れる約束をしていたので、金銭面の不安は多大であった。
更には、過去に使っていたHP、データ、情報、顧客とのアクセス等、それまでのノウハウの使用も制限される。
つまり、会社を辞めた途端、今まで受けていた便益や、それまで培ってきたものが、瞬時に無くなる訳で、この障害を、ともかく跳ね除けなくては生き残れない。

僕は、怒りと不安と感謝の気持で、一番苦しい最初の一年を乗り切った。
会社をまず軌道に乗せるためには、こんな精神的な要素が、若しかしたら、一番重要かもしれない。