報道にどう向き合うか

先週土曜日の蘇州講演会の続き。
当日の朝、江上編集長に会うと、「僕の記事をブログに書いてくれてありがとうございます」と言われる。改まって言われるとてれる。
これは、中国の昨年のGDPが7.8%成長となった事に対する日中間の報道に関する江上さんの見解を僕がブログで取り上げた事に対してのもの。
江上さんの蘇州での講演内容も同じだったので、興味深く聞いていたのだが、確かに同氏が言われる通り、日本の報道が8%割れ、という点を強調する事で、それ自体は事実としても、日本の企業が向かうべき方向が歪んでしまう危惧はある。
中国自身が、既に、2ケタ成長は不要なので、景気過熱・物価上昇の抑制を行いながら、7~8%の安定した成長を志向していくと発言しており、現在のところはその通りに推移している。
また、中国のGDPは、日本の1.2倍以上になっており、それが7.8%成長しているという事実を、計数的にはまず認識すべきである。
そうすれば、そこにどの様に参入して、利益を上げるかを考えるのが、企業の自然な発想となる。
その前提を踏まえた上で、中国に存在する政治リスクや、今後も上昇するコストという問題を、如何に管理(ミニマイズ)していくかを考えればよい。

一口に海外展開と言っても、製造もあれば、販売もある。
更には、役務やノウハウの提供で利益を回収する事も考えられる。
何れの形態かで、必要な人員、投与する資金、リスクの種類・大きさ等はまったく違う。
この点を、十羽一からげで議論しても意味がなく、今後の事業計画を明確にした上で、どこで何をすべきか分析すべきであろう。
例えば、ASEANで作って中国で売る、というのも一つだし、中国にノウハウ提供してロイヤルティを取るのも一つの方法である。
つまり、必ずしも中国に拠点を作らなくても中国ビジネスはできる訳で、企業は、状況に応じて、どの様に中国、東南アジアと向き合い、利益を極大化していくかを考えればよい。
何れにしても思うのは、10数年前の、中国進出を煽る日本の報道も偏っていたが、現在の東南アジア礼賛の報道も偏っている。
報道の通りに動いても、企業として明るい未来が待っているとは限らない。
結局、企業・個人が、報道を鵜呑みにせず、自分の目と頭で分析し、判断する習慣をつけなくてはならないという事だろう。

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