そんな話を、Bar Seedでしていたら、「会社を辞めて成功している人は何割程度ですか?」という質問を受けた。
僕に連絡をくれた人たちは、それなりの規模の会社の取締役、社長室長、経営企画部長等の肩書で迎えられており、一様に意気盛ん。
前より生き生きとして見える人ばかりだ。
勿論、順調だからこそ連絡をくれた、という面もあるのだろうが。
ただ、転職の成功と言うのは、収入アップだけが指標ではない。
やりがい(好きな仕事を、好きな環境でできる事)も重要で、収入が数割減っても、生き生きと仕事に取り組めるのであれば、立派に成功と言えるであろう。
上を見ればきりがないが、前の会社は収入が良かったので、年収が2~3割減っても生活には困らない訳なので。
ともあれ、大企業は、社員数も多く競争が激しい。
若いころから、厳しいノルマを課せられ、失敗すれば、怒鳴られ、下手をすれば仕事から外される恐怖の中で、歯を食いしばって働かされる。
厳しい環境ではあるのだが、その中で生き抜いた事が、確実に実力になっている。
それに対しては、退職した今でも感謝している、というのが、この数年間で出会った元同僚の共通した意見。
厳しくしごかれながら実力を磨いたから、転職先でも戦える訳だ。
ただ、独立起業となると、状況は異なる。
いくら実力が有っても、成功するとは限らない。
商売を1から構築するには時間がかかるし、それまでの生活が問題になる(手持ち資金との我慢比べになる)。
当たり前だが、起業したてで成功する保証がない人間に、銀行は金を貸してくれない。
また、独立すれば、資金が使えないので、売り与信、融資、投資等の、資金力があってこそのビジネスモデル(商社や銀行で当たり前の様にできていたビジネスモデル)は、捨てざるを得ない。
つまり、自分のスキル(経験・ノウハウ・発想)のみで戦うしかない訳で、「自分がどの様なスキルを持っているか。それは金になるか。金にするにはどの程度の時間がかかるか」を明確にしてから独立しないと、まず上手くいかない。
僕の場合は、2001年から現在のコンサルティング事業と同様の事をやっており、独立前に7年間の準備期間が持てたし、転職後も前の会社から仕事を紹介してもらっているので、ある意味、保護された状態での独立起業と言える。
僕がいまだに感謝しているのはその点である。
ともあれ、転職であれ独立であれ、衝動的に会社を辞めた結果では、まず上手くいかない。
数年間のレンジで考え、じっくりと準備をする(考えをまとめる。転職先を探す。スキルを磨く)事が、転職・独立の成功率を高める最大のポイントと言えよう。
最後は、決断だが。