大企業からの独立起業に際して、「大企業の看板が無くなるとやっていけない」という様な事がよく言われる。
ただ、独立を成功させるためには、「そもそも会社の看板とはなにか」という点を分析し、それに対する対策を立てる必要がある。
看板とは具体的には以下3点で、大企業にいる時は、努力しなくても手に入るが、独立したら、必死の努力が必要になるものだ。
① 資金
② 身分証明
③ (継続・遂行に関する)信頼
①(資金)に付いては昨日も書いたが、大企業にいる時、資金調達の心配は不要だ。
極論すれば、即金で仕入れたものを、与信付で売りさえすれば、他に機能が無くても商売できるが、独立するとこれができない。
資金以外の機能でビジネスを構築する事が必然となるので、これができなければ、ビジネスは困難だ。
②(身分証明)は、文字通り。
毎回、あなたは誰ですか(信頼できるのですか)から始まると、ビジネスに結びつくまで一苦労だ。
③は、仕事を任せたら、最後まで責任を持ってやり遂げてくれるか(将来的にも)という顧客の不安を解消しなければいけないという点。
これらの問題を解決しなければビジネスは成立しないので、この対策をどう立てるかが重要になる。
独立前の僕の理想は、定年まで社内でコンサルティング業務をして、定年後に起業する事だったが、それが難しい事(世の中、それほど甘くない事)は、本能的にわかっていた。
その為、在職期間中も、独立を前提とした対応を、無意識のうちに行っていた。
資金を使わないビジネスに特化していたし、執筆、講演、TV出演などで、自分の名前を認知してもらうようにした。
③に付いては、受けた仕事を間違いなく遂行する事で、時間をかけて証明するしかない。
連載(執筆)やブログでも同じ事で、毎週毎週、引き受けた仕事をこなす、継続するという当たり前の事の積み重ねが、責任感の証明になる。
信頼は、得るのは難しく(時間がかかり)、失う時は一瞬だ。
これは地道に積み重ねていくしかない。
若干、話は変わるが、自分としては、会社員の頃から、独立しているのと同じ意識でコンサルティング業務をしている、という自負が有ったが、実際に独立してみると、あの時はまだ意識が甘かったな、と感じる事もある。
講演会を例にとっても、以前は、講演会の前日でも平気で酒を飲んでいたが、今は、ベストの状態でプレゼンが出来る様、前日の宴席は原則参加しない。
服装にしても、以前は、平気でよれよれのスーツを着ていたが、今は服装にも気を遣う。
大企業の看板が有れば、「服装に無頓着だな」で終わってしまうが、独立後は、同じ服を着ていても、儲かってないんじゃないか(経営は大丈夫か)と思われてしまうからだ。
言ってみれば、当たり前の事ばかりだが、こんな些細な事にも、意識の違いは表れる。
以前は会社の看板に甘えていた点が有った、という事だ。