中国アセアンのビジネス選択2

3回連続の最後。

この数字から、世界における中国の存在感と日本経済の中国依存度を、改めて実感させられるため、為政者としては、国家としてのリスク管理の観点より、アセアンシフトに誘導(リスク分散)したい気持ちは理解できる。僕が同じ立場でもそうするのではないか。
そして、中長期的に見れば、これは徐々に進むのであろう。
ただ、企業側として忘れてはならないのは、今、生き残らねばならない、という事であり、それには、企業利益の確保が大前提という事である。
もっとアセアンシフトが進めば違ってくるのであろうが、少なくとも現段階では、輸出主体の労働集約産業でない限り、産業集積とインフラ整備が進んだ中国が、高い効率性を維持できるのは確か。
どれだけ煽っても、政治や報道は企業を助けてくれないので、自力で安定稼働と利益を掴まざるを得ない。
その上で、中国一国集中が怖いのは確かで(これはどこ国に拠点を出す場合でも同じだが)、多国展開できる体力がある企業なら、リスク分散は海外ビジネスの基本だ。
その結果として行きつくところが、中国プラスワンという事である。
僕が、前々回のブログで、「計数を見て、改めて中国プラスワンという言葉を実感した」というのは、こういう意味だ。

尚、蛇足になるかもしれないが、机上論では忘れられがちになる事が多々ある。
例えば言語。
中国では日本語が話せる人材の雇用は容易であり、英語にまで範囲を広げれば、採用は極めて楽である。
中国は、日本人が、外国語ができなくても業務遂行できるという意味で、恵まれた環境である事を忘れてはならない。
また、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンなど、外国企業の進出に歴史が有る国であれは、人材面での不安は少ないし、サポート体制がしっかりした工業団地もある。
これらの地域でも、駐在員は、最低英語が話せれば業務遂行できよう。

ただ、これらは、一定のコストがかかる事が大前提だ。
安さを求めるのであれば、更に人件費が安い地域を選定する事もできるが、そこでは、英語人材でも確保が難しかろうし、インフラも不完全だ。
駐在員のビジネス英語が問題なかったとしても、業務遂行ができない危険性もある。
その様な場所を選定するのであれば、十分な現地視察の上で判断すべきであろう。
また、表面的なコストが安くても、物流コスト、リードタイム等、各種の間接要素により、却ってコスト増になる可能性もあるため、これも踏まえた試算が必要である。

最後になるが、僕が中国で最初に悪戦苦闘したのは25年前。
当時の中国の住環境は悪かったが(比較すれば、今の中国は便利すぎて外国の様だ)、改革開放から10年程度経過し、生活環境がよくなり始めた時期なのでまだ楽だった。
僕より10年以上前からビジネスを開拓してきた諸先輩は大変だったであろう。
また、僕が初めて訪問したベトナム(20年前)もひどかった。
1989年の福建省で1年生活した僕が、たかだか一週間のベトナム出張が耐え難かった。
ただ、やはりそこで日本企業のビジネス基盤を作ってきた方々がいるので今が有る。
ミャンマー、ラオス、カンボジアなどでも、そういった先駆者がいて、日本企業の未来が作られていくのだろうと思う。
ただ、それは覚悟と苦痛が伴う道のりである点、新興市場に乗り出す企業は認識しなければならない。

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