中国進出・撤退は是か非か

12月12日(日)~17日(金)の一週間は、香港⇒大阪⇒名古屋⇒静岡⇒横浜⇒東京と移動し、19件の面談をこなした。
なかなか収穫の多い一週間であった。

東京ではメディアの方との面談が多かったので、中国への進出状況などを質問される事が多かったが、政治の状況や日本での報道のニュアンスとは異なって、日系企業の中国進出は、引き続き非常に盛んである。
これは前にも書いたが、日本経済の閉塞感、下請け企業に対するコストカットの要求の厳しさにより、日本で物づくりをする事が、ますます難しくなってきている為である。
つまり、中小企業を含めての国際化は、経済の必然により深化を続けている訳なので、海外進出する自国企業の保護を、日本、中国を問わず、政府機関は心がけるべきだと思う。
経済実態を無視して、政治は語れない筈だ。

因みに、中国に進出する事の意義はどうか(中国進出は是か非か)、という点であるが、これは産業・販路によって異なってくる。
例えば、最終納入地が日本の場合、加工貿易モデル(輸入部材を使用して中国で加工。製品は再輸出)であれば、物流・通関・税金・その他のコストがかかる為、中国沿海部での製造は、日本で製造する場合と比べて3割程度のコスト減である。
業種によっては、ほとんどコストメリットが無くなっている場合もある。
既に、中国で製造する事のコストメリットが無くなってきた様な業界では、中国沿海部で製造を継続する事ができず、内陸部、カンボジア等への移転が行われている。
勿論、これらの場所は、関連政府機関の対応が規範化されておらず、インフラ整備が進んでいない。
よって、コスト・為替・通関などの面でトラブルが生じる可能性は、中国沿海部での製造に比べて相対的に高くなる。
つまり、コスト引き下げ効果の代償として、事業リスクは中国沿海部よりも高くなるが、採算上の理由で、その様な地域に流れざるを得なくなる。


一方、(加工貿易モデルではなく)中国内市場を目的とした場合、つまり、販売先が中国内である場合は、採算性は上記よりも良くなる。
自動車産業の場合等は典型的な例である。
自動車業界等では、メーカーのコストカット要求は、年々厳しくなるため(目標に達すれば、更に引き下げ要求がくる、いたちごっこの様な構造だ)、納入先が中国の場合、日本で製造して貿易形態で部材を供給する事は、コスト面でも納期面でも限界が来ている。
結果、部材メーカーは中国に進出せざるを得なくなる。
現状、自動車関連企業の進出が盛んなのはこの要因であろう。
数ヶ月前に、中小自動車部材メーカーの方が、「2年前には決め切れなかったが、中国に行く腹を決めた。日本に留まれば確実に死ぬ。座して死を待つより、中国進出で50%でも生き残る可能性があるのであれば、行かざるを得ない」と言われていたが、若干の誇張は入っているかもしれないが、現実を踏まえた声であろう。
確かに、海外に出なくては生き残れない国にしてよいのか、という率直な疑問はあるが、企業としては、海外移転を決断する事が、生き残りのための経営努力になってしまっているのが、現状だ。

また、中国で外資参入が制限されていた産業(インターネット、医療、その他)は、これからの規制緩和を踏まえて、日本企業が進出準備を進めている。
この業界は、「今まで外資参入が制限されていたため、競争が少ない」、「製造業と比べ得て必要とされる人材が少数、且つ、高ノウハウ人材。この様な人材は、日本で展開する場合と比較して、中国のコストメリットが十分にある」、「拡大している中国の内需をターゲットにできる」という事で、想定される規制緩和を狙って、進出準備を進める企業が多いし、これからも増えるであろう。

この様に、日本企業と、一括りにする訳にはいかず、販売形態、産業によって、中国に拠点を構築する事の是非は異なってくる。
少なくとも沿海部に限定すれば、中国は、労働集約産業の採算を取るのが苦しい状況になりつつある。
一方、高付加価値、中国内需向け、ソフト産業等にとっては、チャンスがある意味増している。
中国内の産業構造の変化が、この様な転換を促している訳であるが、これは、日本も経験してきたものである。


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