今までに食べた不味いもの

25年以上前の事。
レストランで出された料理がまずくて、文句を言っていたら、一緒にいた女性(年長者)に怒られた。
食事中に文句を言ったら、一緒に食べている人にも迷惑がかかる(嫌な気分になる)。
そんな態度は男らしくない、という事だ。
「なるほど」と納得して反省した。
それ以来、店で出されたものがまずくても、笑って対処できるようになったし、ひどい場合は店を変える(以前悪代官松園君がアレンジしたすさんだ寿司屋の様に)。
まあ、大学時代の安い居酒屋めぐり、不便な時代の台湾・福州研修経験で鍛えられ、まずいものでもそれなりに食べられるようになったので、今の僕には食べられないほどひどい店は、あまりない(美味しいと思って食べるか、美味しくないと思って食べるかという問題)。

今までの経験では、印象に残るほどまずかった(食べられなかった)店は2店。
1店は高校時代。
これは、横浜駅にあった店で、どうしたらここまでの味が作れるのだろう、というくらい不味かった。
味の記憶はすでにないが、一緒に入った友人が、「罰ゲームにできるまずさだ。他の客が、表情変えずに食べているので尊敬する」というコメントしたが、まさに同感であった。
スープは、お湯に色を付けて、化学調味料と胡椒を混ぜただけ、という感じ。

もう一店は、1990年代に香港に有った炭火という焼肉屋(10年以上前になくなった店なので、店名を出しても良いだろう)。
「消防法の関係で、店内で炭の使用ができない」という事情はあるにせよ、炭火と店名に謳っているのに電気コンロ、というのでまず拍子抜けしたが、出される肉や料理がひどかった。
特に最後の冷麺は、リポビタンに酢と醤油を入れて混ぜたような味で、1980年代の中国で鍛えられた僕にも食べられなかった。
出来立ての頃は、高いが不味くはなかった様な記憶があるが、閉店直前はそんな感じだった。

つまるところは、あの店は美味しい不味いと騒いでみても、不味くて鮮烈な印象を残す店はその程度という事だ。
魯山人を非難するつもりはないが、味には泰然自若と構えるくらいの余裕が有った方が、人間格好良い気がする。
それと共に、僕の48年間の半生の中で、あれだけインパクトを残した2店はすごいものだと思う。