貿易代金決済制度の改革の試行

「貨物貿易外貨管理制度の改革の試行措置の公告(国家税務総局令[2011]第2号)」が、12月1日から一部地域で施行される。
一部地域とは、江蘇省、山東省、湖北省、浙江省(寧波は除く)、福建省(厦門は除く)、大連、青島地区であるが、先行する輸入核銷手続の規制緩和に関する弁法(匯発[2010]57号)が、やはり、地域限定で施行された上で公布された際の事を考えると、今回も、意外に早い段階で適用地域が全国に拡大するのかもしれない。
この点は、施行状況を確認した上での決定になるので、現段階では本格施行時期は予測できないが。

今回の措置は、中国の外貨決済の前提である核銷手続の全般的な見直しや、通関手続き、増値税の輸出還付手続の修正を含む大がかりなもので、一部は、措置が全国規模に拡大した際の宿題として持ち越されているが、この通り実施されたとすれば、まさに、公告のタイトルにもなっている、「改革」にふさわしい内容だ。
基本的には、現在の中国の貨物代金決済の原則となっている、一対一の消込照合(核銷)制度を総量制に変更する事と、紙証憑の廃止(オンライン化)を内容としている。
通関、外貨管理に関するオンライン処理を感じた結果と言えるであろう。

気になるのは、先行して昨年12月から施行されている「筈の」輸入核銷手続の緩和が実務的には殆ど実施されていない事で、その意味で、「今回の措置も実務的には機能しない」という可能性と、「今回の措置により、輸出入同時に本格的施行となる」という、二つの可能性がある訳だが、僕個人としては後者、つまり、「今回こそはやる」のではないかと思っている。

ただ、A類はさておき、B、C類に分類された段階で、ユーザンス取引(通関より90日超経過した段階の決済を伴う輸出入取引)が禁止される等、厳しい内容が織り込まれている。
輸入核銷と同様、今回も、全てをA類にして、問題がある企業を降格していく方法をとる可能性が高いと思うのであるが、いずれにしても、降格は、オペレーションの厳しい制限を伴う事になるので注意を要する。
何れにしても、12月からの一部地域の状況に注目する必要がある。

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