調達サイドに関して言えば、原材料調達から製造、販売、回収までに資金ニーズが生じるので、これを商社の与信販売(ユーザンス販売)を利用して解決するという事。
勿論、銀行からも借り入れは行うのであろうが、資金調達の多様化は必要であり、その観点から、商社からの購入が行われる場合は多い。
販売サイドに関しては、特に、中国の場合、メーカーは与信販売をせず、前払い・銀行保証手形等での決済を原則とする場合が多い。
バイヤーがこれに応じない場合は、商社経由で販売して与信リスクを回避する事になる。
商社の活動は、形があってないものなので、時代の流れと共に変容していくが、この伝統的な活動に関して言えば、顧客から期待されている機能は、資金調達と与信リスクの回避である。
実際には、これにバイヤー・調達先の開拓、ビジネススキームの構築、語学対応、貿易実務の対応、投融資等が同時に提供されるのであるが、ユーザーニーズという点では、伝統的な機能(資金と与信)に重きが置かれている場合が今でも多い。
資金調達は会社の信用が必要で、与信面では、営業・審査・経理のノウハウは当然の事として、それ以上に、万一貸倒れた場合に耐えうる体力も必要だ。
商社を辞めて起業した人間が失敗するケースが多いというのは、個人企業になる事で、資金・与信面の対応ができなくなるのが主要因であろう。
これを、噛み砕いて教えてくれたのは元上司で、単純な話ではあるが、目から鱗が落ちる気がしたものだ。
同時に、「という事は、資金ニーズ・与信リスクの無いビジネスモデルが立てられれば、独立して成功する可能性も高くなる訳か」と考えたのは、前にも書いた通りである。
ともあれ、事象(上の例では、商社を辞めて独立して失敗する人間が多い)があれば、その理由を知る事で対応策が見えてくる。
会社の信用、という一言で思考を止めず、その中身を分析すると、新しいものが見えてくるものだ。元上司から学んだ事の一つだ。