外はまだ良いのであるが、家は北向きだし、会社は(香港ではどこでもそうだが)冬でもクーラーが効いているので、大変寒い。
今週は上海出張なので、寒さに弱い僕としては、少々身構える。
季節が秋になってくると、何故か思い出すのは新入社員の時の事。
会社の志木寮に住んで、会社では深夜残業、休日出勤を繰り返していた時である。
大学時代は自宅から通学していたので、初めての一人暮らし(寮だけど)。
家からみかん箱一個の荷物を宅急便で送り、あとは、トランク一つで会社の寮に引っ越した。
会社の寮・社宅は、十数年前に、軒並み立派な施設に建て替えられてしまったが、僕の新入社員当時の寮は古かったし、特に志木寮は、一番古くて汚なかった。
その代わり、寮費も数千円/月だったけれど。
個室ではあるが、広さは3畳あるかないか。
壁は薄い板で、隣の部屋の人の鼻歌が聞こえる程。
クーラーも暖房も0時には切れてしまうので、会社から帰ってきたときは既に暖房は切れており寒い(風呂も余熱で暖まっている状態なのでぬるい)。
朝、6時半に寮を出るときは、暖房が切れたままなので、冬は凄く寒くてワイシャツを着るのが辛かった(これだけ狭い部屋ならトイレの暖房機でも暖まるのではないかと思い、3000円弱で買って試したが、さすがにダメだった)。
残業から帰るのは、大体1AMで(終電まで仕事をしていた)、寝るまでの1時間、2缶のビールを飲む事、たまには部屋でインスタントラーメンを食べるのが楽しみだった。
最初の半年でカップ麺に飽きてしまったので、袋麺を食べたいと思い、1980円でコンロを買った(これもいまだに値段を憶えている)。
これをベッドの脇の床に置いて、しゃがみこんで麺を茹でたのが今でも思い出深い。
新入社員当時で、会社で働く事自体がまだ辛かったし、寮での生活も辛かった。
慣れない会社生活、新入社員という理由で軽く見られる事に対する悔しさや反発、残業ばかりで足りない自分の時間、いつもの睡眠不足。
あれから18年経って、仕事の責任も重くなったけど、やはり、新入社員時代が一番辛かった。
そんな意味で、新入社員の頃は、台湾・福州の研修時代(2〜3年目)と並んで、強く思い出に残っている時代。
それから、徐々に会社での生活も楽しくなっているような気はする。
ただ、新入社員の頃は、たまに居酒屋やラーメン屋に行けば楽しかったし、六本木に行けば(お上りさん的な居心地の悪さはあったけど)何やら舞い上がったりもした。
楽しい事も辛い事も新鮮。
あれだけ、全てが新鮮に感じられるのは、若いときの特権だった様な気がする。
そんな昔の事を、寒くなってくると何故か思い出してしまう。